うれしいときに共に喜んだ感動、困難にあったときに励まされた思い出など、それらは生涯に渡って、人生の節目節目や、何かの拍子に思い出す原風景の一部になるものです。原風景がしっかりしている人ほど、困難にぶつかった時に、それに打ち勝つ力も大きいと言われますが、あなたの子どもさんたちの原風景を想像しますと、かわいそうでなりません。
夫君がしていることは、今現在、妻子を脅かしているだけでなく、あなたや子どもたちの将来に渡って、深い傷を刻んでいることになるのです。壊れた電化製品や家具、陶器やおはしで暮らし、勉強の覚えが悪いといっては殴られ、それを止めに入った母親が、目の前で殴られる子どもたちの心境と将来を、考えてみてください。夫君の罪の大きさが分かろうというものです。
夫が改心しない限り、同居は無理と覚悟を決める
あなたの箇条書きのようなご相談文を、勝手に少し直させていただきました。あなたの切羽詰ったご心境、お察し申し上げます。同時に私の知人が思い出されてなりませんでした。
彼は妻の性格が大嫌いで離婚したくてしかたがないのですが、それが想像できないほど、いつも妻に優しいのです。理由をきくと、彼の父親が母親にとても優しく、自分もそのような優しい振る舞い以外は、覚えてこなかったからだというのです。あなたの子どもさんたちが、嫌いでもない伴侶に、暴力でしか意思伝達ができなくなるかもしれない可能性をうかがわせるエピソードです。それほどあなたの家庭は、異常事態が続いています。
ここは夫君が変わらないなら、壊れても惜しくない家庭だと、あなたが覚悟をくくることです。あなたはかなり限界にきておられ、このまま大きくなっていく子どもたちも、あらゆる面で心配です。子どもたちが何かでつまずいたとき、あなたも子どもたちを守らなかった責めで、ますます苦しむかもしれません。大げさかもしれませんが、何かコトが起きてから行動を起こしても、遅いのです。
これは私の悪い想像でしかありませんし、むしろ父親を反面教師に母子の絆が深まることも想像されますが、それでも、現在の家庭事情は、あなたにも子どもさんたちにもひどすぎます。
夫君の友人か親戚を介して、あなたが限界に来ていることや、この環境で子どもを育てて予想される現在と将来の弊害を彼に説明し、彼の改心がなければ今の家庭が崩壊することを、説得してもらえないものでしょうか。
あなたが覚悟さえできれば、家庭裁判所が一番いいと思われます。このまま続いても、結局は彼にも不幸しか待っていませんから。
《著者プロフィール》ミセス・パンプキン:『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)の著者ムーギー・キム氏の母。海外各国に住む子供を訪ねて、北米、香港、フランス、日本を移動しながら生活。一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた。立命館大学卒業。共著に『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)。