「大地震と巨大噴火はワンセット」

「しかし、もうひとつの可能性は最悪です。フィリピン海プレートの背後の太平洋プレートが“黒幕”として西日本を押していると考えた場合、太平洋プレートはもぐり込むように溶けながらどんどんマグマをつくり出すので、マグマが供給され続ける火山は大爆発します。阿蘇に限らず、西日本から東日本の火山まで次々と巨大噴火する可能性が出てきます」(高橋教授)

 下の図をご覧いただきたい。日本列島周辺には4枚のプレートが重なり合う。

九州の火山の噴火は太平洋プレートが黒幕だった!?(高橋教授の取材などに基づく)作図/スヤマミズホ
九州の火山の噴火は太平洋プレートが黒幕だった!?(高橋教授の取材などに基づく)作図/スヤマミズホ
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 高橋教授の説明によると、東日本では太平洋プレートが北米プレートにもぐり込もうとし、西日本ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートにもぐり込もうとしている(※図の黒矢印)。従来考えられてきた定説だ。

 そのうえで高橋教授は、西日本では太平洋プレートがフィリピン海プレートを押す(※図の白矢印)ことで間接的にユーラシアプレートに影響を与えていると考えるようになったという。西日本全域はユーラシアプレートにのっており、地震噴火のリスクはそのぶん高まることになる。

「マグニチュード8・5以上の大地震のあとに巨大噴火が起きていないケースは、世界でみても3・11の東日本大震災だけです。大地震と巨大噴火はワンセットなんです。

 震災後、太平洋プレートは北米プレートにもぐり込むスピードが3〜4倍に加速しており、東日本の栗駒山(岩手・宮城県境)や草津白根山(群馬・長野県境)などおよそ10火山にマグマを供給し続けていることが考えられます。いつ大爆発してもおかしくない状況ですが、これに西日本の火山も加えて考えたほうがいいかもしれません」(高橋教授)