牧村さんのおすすめ映画
理解を深められそうな、牧村さんがおすすめする映画の1本は『ジェンダー・マリアージュ〜全米を揺るがした同性婚裁判〜』。
「2組の同性カップルが、カリフォルニア州の同性婚を禁じる修正案と闘う姿を追ったドキュメンタリーです。裁判の練習で味方の弁護士がすごく意地悪な質問をぶつけてくるのに、べそをかきながら必死で答えたり。そんな苦労のかいがあって本当によかったと思えます」
もう1本はディズニーアニメ『ズートピア』。
「LGBT映画ではないのですが、差別や偏見、多様性を認めることについて、すごくわかりやすく語っている映画。LGBTを意識し暗示させつつも直接的に訴えるのではなく、コアな部分をつかんでお話としてうまく見せています。
LGBTとひと言でいってもいろんな人がいますから、いろいろな作品を足がかりにして理解を深めてほしい。たくさん見ることで、“LGBTといっても、いろいろあって、逆に何だかわからなくなった”、“もっと知りたい”と思ってほしいです」
<作品紹介>
■『ジェンダー・マリアージュ〜全米を揺るがした同性婚裁判〜』
同性婚禁止を覆すため5年以上にわたって闘った記録
2008年に同性婚が認められながら、半年後に修正案「提案8号」で覆ってしまったカリフォルニア州。これに対し、男性同士と女性同士のカップル2組が異議を唱えて提訴した。パートナーとの愛を貫きたい一心で酷い差別にも耐え抜くカップルたちの人柄、愛のパワー、そして法廷サスペンス的な道程が大きなカタルシスを呼ぶ。
本編112分/個人鑑賞用DVD4000円(税別)/発売元:ユナイテッドピープル
■『ズートピア』
レッテル貼りや偏見に負けない、ヒロインと相棒に勇気づけられる
警察官になるという夢を叶えたウサギのジュディが、すべての動物たちが共存する理想郷、ズートピアで連続行方不明事件に遭遇。詐欺師のキツネ、ニックとともに謎に立ち向かう。物語にはマジョリティーとマイノリティー、多様性、差別や偏見の弊害といった深読みしがいのあるメッセージが満載。LGBTらしきキャラも登場している。
本編108分+特典映像/MovieNEX4000円/発売・販売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
<プロフィール>
牧村朝子さん
LGBTを中心に、社会的弱者についての諸問題を専門分野とし、タレント・傾聴ボランティア・執筆業を通して、周りと共有しづらい悩みを抱える人々に向けての活動を続けている。著書に、『同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の「同性愛診断法」クロニクル』(星海社新書)などがある。