高収入の不倫女子が、相手に求める条件で目立つのは、“身だしなみがよく明るい”こと。辻本さんは“鼻毛”と言ったが、これは重要なポイントなのだ。
「どんなにイケメンでも、仕事ができても、おカネを稼いでいても、鼻毛が出ていたらNG。鼻毛が出ていないというのは、相手に不快感を与えず、自分を冷静に観察できる人の証明だと思うんです。私はそれに加えて“朗らかな人”というのが外せない。営業マン的に上っ面だけ明るいのではなく、そこにいるだけで朗らかな人。この2つがそろう人って意外にいないんですよ」
“恋人以上・家族未満”が安らぐ
確かに、辻本さんの話を聞いてから、男性の鼻を見ると、意外なほど皆ケアをしていない。そして、朗らかな人というのも少ない。
「最初はお互いにカッコつけていたけど、“恋人以上・家族未満”という慣れ親しんだ感じが安らぐんです。若いイケメンは息子に見えるし、カッコいい男の人は、ほかに女性がいたり、女性を心のどこかで見下している部分があると思います。
今の不倫って、“夢”を求めている人は少数派で、“安らぎ”を感じたい人が多いんじゃないかな。周囲でも、さほどカッコよくないけど、明るくてこざっぱりしている人がモテているみたいですよ」
夫と離婚して、彼と一緒になる気持ちはいっさい、ない。
「結婚すれば、もれなく相手の家族や親戚がついてくる。その存在の重さや、相手の実家の暴力的なまでの夫や娘への支配欲求の調整をするのは、夫の両親だけで十分。それに、私が離婚したいと言っても、夫が困るだけだと思います。
だって、夫はED、子持ち、容姿劣化、無口と、恋愛市場での資産価値はマイナス(笑)。不倫相手だって、私は好きな人ですけれど、ほかの女性が彼を好きになるかと言ったら、かなり疑問が残ります。
それに、彼と再婚しても、義母の誕生日を祝ったり、母の日にイベントしたりと、面倒なノルマが課せられるわけでしょ。もう他人の価値観を受け入れたり、スルーしたりはできませんよ。きっと彼だって私と会っているときは朗らかな人だけれど、実際はそうじゃない闇の部分もあると思う。私と彼はたまたま気分と肌が合うから、定期的にエッチするだけ。それだけのことです」
沢木文(さわき・あや)◎Writer&Editor 1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(小学館新書)がある。