汚染された肉をミンチにすると

 食品衛生法が改正され、厳しくなってはいるが、食中毒事件はなぜ起こるのか。

 食品加工工場などの衛生管理のコンサルタントを行う、ジャパン・フードセイフティードクター株式会社の池亀公和代表取締役は、

牛の数パーセントは、О-157を保有しているんです。牛のお腹を裂くときに糞便が飛び散って、他の部位に付着する。その後の工程で洗浄を行いますが、肉にめり込んでしまったりすると洗い流すことができない

 そう原因を説明したうえで今回のメンチカツについて、

「汚染された肉をミンチにするわけです。肉の表面近くについていた菌をミンチにすると、中に入ってしまう。菌が生き残ってしまうわけです」

 秋から春にかけて猛威をふるうのが、「食中毒の約4割を占める」(前出・池亀氏)というノロウイルスだ。

「感染した人の便や吐物に含まれており、多くは調理従事者が排便をしたときに手や衣服に付着しそこから2次感染が起こる。最近はパンとかカット野菜とかいろいろなものからノロが検出されています。ノロはアルコールでは死にません。だから排便後、衣服を触る前に手を洗うなど、手洗いを徹底するしかない。洗えば菌は流れますから

 今年5月、福井県・若狭町の小学校の給食で、集団食中毒が発生。2次感染者を含め496人が症状を訴えた大事件。町はその後2度と起こさないようにと、給食センター調理員向けの衛生管理マニュアルに“調理時間中の排便を原則禁止”と盛り込んだが……。

「倫理的に問題があるとして、6月29日に削除しました」(同町教育委員会事務局)