また、性依存症の治療に詳しい榎本クリニックの精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏は、
「性犯罪は見ず知らずの相手に対して“単独”で行うケースが比較的多いですが、今回の事件のように集団の場合、行動化への抵抗感も、行動後の罪悪感も少なくなります。
また、ブランド化された有名大学の自分なら“相手も性的接触を望んでいる”というようなエリート意識があるゆえの認知の歪みが背景にあったのではないかと思います」
大学生の性犯罪は、なぜいま多発しているのか。
「発覚による二次的被害を恐れて、被害者が警察に被害を申告しない、処罰を求めない傾向がこれまでありました。しかし近年、被害者が警察に被害を申告し、処罰を求める件数が増加したため、事件として取り扱われる件数も増えているのだと考えられます」
そう話すのは、『弁護士法人・響』の寺野朱美弁護士。
また、加えて渋井氏は、
「以前は被害者に対応するのが男性だったりしましたが、今は基本的に女性の警察官。捜査もきちんと被害者をケアしたものになってきたことで被害の申告が増えたのでは」
「集団」とともに事件にかかわるキーワードが「酒」。
「泥酔させた後に起こる性暴力の危険性は、もっと啓発されていかなければならないと思います。イッキ飲みの強要などの“アルコールハラスメント”は、急性アルコール中毒死の危険性ばかりが啓発されていますよね。もちろん命を落とすことはあってはなりませんが、性暴力被害の重大性も念頭に入れるべきです」(前出・斉藤氏)
罪を犯した学生たち。その量刑はどの程度になるのか。
「強姦罪では、7割程度の者が3年から10年以下の懲役刑を言い渡されています。強制わいせつ罪では、6割程度の者が執行猶予のついた3年以下の懲役刑。犯罪を計画した者や重要な役割を行った者は重く処罰される傾向です」(前出・寺野弁護士)
人より高いレベルで学問を学んできた彼ら。本当に学ばなければならないのは“人間性”なのかもしれない。