『笑点』の司会就任が決まった直後、そんな書き込みが、近所の飲み屋の店主たちと客たちが参加するSNSにあった。どうやら週刊誌の記者らしい。店に入って来て注文するやいなや、「この店に昇太さんって来ます?」と聞いてきたのだという。どこの記者だか知らないが、なんとも下手な取材である。
すぐに「ウチにも来た」という書き込みが続いた。記者もなかなかの行動力だが、ご近所SNSの方が速かった。あっという間に、「昇太さん防衛網」が敷かれた。
さらにこんな書き込みもあった。
「その記者はけっこう美人なんで、○○さんが酔った時は要注意」
確かに○○さんは酔うとおしゃべりになる。そのタイミングできれいな女性に話しかけられたら、有る事無い事、話してしまうかもしれない。いや、絶対に話す。外部だけではなく、内部にも目を光らせる。完璧な防衛網ができあがった。
こう書くと、昇太さんには週刊誌に書かれて困ることがあるのでは? と疑う方もいるだろう。しかし、僕の知る限り、週刊誌が喜びそうなネタはいっさいない。僕たちの前ではいつも、昇太さんはテレビで見るあのままだ。おそらく人目に触れる場所にいる限り、あのままに違いない、ディズニーランドのキャラクターのように。
そこで今回、春風亭昇太さんには「夢と魔法の国の落語家賞」を勝手に差し上げ、勝手に表彰します。
また近所でお会いできる夜を楽しみにしています。
【プロフィール】
◎山名宏和(やまな・ひろかず)
古舘プロジェクト所属。『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』『世界何だコレ!?ミステリー』といったバラエティー番組から、『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』といった経済番組まで、よく言えば幅広く、よく言わなければ節操なく、放送作家として活動中。