(c)2017「恋妻家宮本」製作委員会
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 夫婦役は、阿部寛天海祐希が演じ、阿部とは今回初めて組んだ。

「阿部さんは、コメディーもシリアスも演じられる。説教くさいことを言ってもいいくらいのキャリアもあるのに、人に対してとやかく言うことはせず、自分の芝居にだけ専念する素敵な役者さん。一生懸命考えて演じ、絶対に満足もしない人。それが役者としてのモチベーションになっていると思います

 天海とは、『女王の教室』『偽装の夫婦』などの話題作で仕事をしている。

「天海さんとは知った仲でも、緊張感や畏敬の念があります。以前は主婦の役はできないと思っていましたが、『偽装の夫婦』で認識が変わりました。今回は弱さ、孤独さ、不愛想な面を抱えた女性を、化粧っ気なく演じてくれた天海さんに、女優として新たな鉱脈を発見できました

「人は、人を幸せにするために生きている」

 結婚や夫婦観については、こう語る。

「人と人が愛し合って結婚するのは素晴らしいことだと思う。形式でも永遠の愛の誓いを立てるということはすごいことで、その覚悟と勇気と情熱に周囲が心を打たれ祝福するんです。人は最終的に人を幸せにするために生きていると思う。人を幸せにしたいから、誇りが持て、頑張れる。夫婦はその原型だと思います

 映画のエンディングには、出演者が吉田拓郎の『今日までそして明日から』を歌うシーンが登場する。♪わたしは今日まで生きてみました〜というフレーズには、見る側にいろんな思いを起こさせる。

「いろんな不安を持っている人にも、どの世代にもしみる歌詞。ハッピーエンドではなくても、元気になって頑張ろうと思ってもらいながら、映画の主人公たちと一緒に歌ってもらえたらいいかなと思います」

 最後に次作は?

「今、考えています!」

 力強く即答する声に、ようやくたどり着いた監督への熱意がこもっていた。

<profile>
ゆかわ・かずひこ/1955年10月24日生まれ。東京都出身。広島県で育ち、大学卒業後上京。テレビ制作会社を経て、'87年『うちの子にかぎって…スペシャル!』で脚本家デビュー。'03年『さとうきび畑の唄』で文化庁芸術祭大賞テレビ・ドラマ部門受賞、'05年『女王の教室』で第24回向田邦子賞受賞、'11年『家政婦のミタ』は最終回視聴率40.0%を記録。'12年『純と愛』、'16年『はじめまして、愛しています。』ほか