長年フィギュアの取材をしてきたスポーツライターのEさんも、羽生の活躍からファンの応援が変わったと話す。
「彼がソチ五輪でメダルをとって人気が爆発してから、たくさんの花束が飛ぶようになったんです。リンクサイドでパソコンで作業していると、届かなかった花束が私のパソコンにぶつかって水滴が画面にかかることもありますよ」
海外で図々しいファンから暴言を吐かれた経験もある。
「昨年フランスで行われたグランプリファイナルでは、報道陣の席と観客席が同じ高さでした。いちばん前の席に座っていた40代〜50代の日本人3人組のファンが近寄ってきて“私たちは高いお金を払ってるんだから、どきなさいよ”と言ってきました。選手に近づきたいのはわかりますが、私たちも仕事で来ているんですからね……。クレームをつけてくるのは、いつも3人〜4人組のおばさんグループです」(前出・Eさん)
ファンの声援に元フィギュアスケーターは
元フィギュア選手で、現在はプロの振付師として活躍する村主章枝さんは、ファンの声援はうれしかったという。
「ジャンプやスピンのときに拍手をしていただくのはすごく励みになります。意外と声は聞こえているんですよ」
ただし、タイミングによっては逆効果に。彼女自身も、緊張が途切れた経験がある。
「これ、言っていいのかな……(笑)。ソルトレークシティ五輪のフリーでポジションに着く前に集中していたら“光を放て、すぐりー!!”という声が聞こえて、緊張の糸がプツッと切れました。それが、松岡修造さんだったんです(笑)」(前出・村主さん、以下同)
応援を力に変えるには、選手の心構えも大切だ。
「石を投げられようと、罵声を浴びせられようと、選手は動揺せずに最高の演技を行わなければなりません。精神力を鍛えておくのが選手の務めです」
ファンの側は、最低限のマナーを守るのが務め。
「選手にとって出だしは肝心。名前を呼ばれてから30秒以内にスタート位置につかなければ減点、60秒を超えると棄権扱いになります。
名前がコールされてから滑り出す前の応援は、特に気を遣っていただけたらと思いますね」
来年の平昌オリンピックでは、マナーを心得た応援で、金メダルを目指す選手を後押ししたい!