──うちの子、本当に勉強ができません。
「お子さんの“できた”に目を向けてください。「うちの子、できないんです」という親のお子さんに会ってみると、たいていうちの娘より出来がいい(笑い)。神童みたいな子と比べてはいませんか? 子どもをよく見ていると、昨日より、今日、何かできるようになったものがあると思いますよ。それを見つけてやるのが親の仕事。自信を持って勉強ができるよう、親が気づいて伸ばしてあげましょう」
──子どもに言ってはいけないNGワードは?
「『将来、〇〇になるんでしょ?』。やる気が落ちているときは、問題が解けない、思ったように受験勉強が進まないといったストレスがたまっているとき。勉強自体がおもしろくなくなっているわけで、将来の夢なんて持ち出されても心に響くわけがありません!」
──子どもに言ってあげたい言葉は?
「『昨日より、〇〇が上手にできてるね』。日々、何かができるようになっていると感じさせることは、子どもの自信につながります。ポイントは、“できた”目盛りを細かく設定すること。できなかった問題が解けたという大きなレベルではなく、立方体が上手に描けたなど“小さなできた”を大切に。本人さえも気づいていないところに目を向けられるかが親の腕の見せどころです」
──息抜きに旅行へ行くのはアリですか?
「時間的な息抜きは不要です。本当に受かりたい子どもは、テレビを見たり、遊びに行っているときでさえ「勉強しなくて大丈夫かな」と思っているので、息抜きなんてできません。本当に必要なのは、心の息抜き。「受からなかったらどうしよう」「絶対に無理だ」と思っていては、勉強にならないので、子どもが安心して取り組めるよう心のケアをするのが親の役目です。それには、前述のとおり“できた”という経験をたくさん積ませてあげることが大切ですね」
──親として、いちばんに何をすべきですか?
「親になる時間をつくることです。塾に入れてあげる、塾の費用を出してあげるということで満足していませんか? 塾の送り迎え、夜食づくり、問題のチェックなど何でもかまいません。仕事などで忙しいのはわかりますが、親として子どもの受験に労力をかける時間をもつことが第一です。親が「この期間だけ」と腹をくくって家事も仕事もなげうって受験に臨む家族は本当に強い。ただし、度が過ぎると生活が苦しくなるなど弊害もありますから、バランスよく!」
<プロフィール>
桜井信一さん◎1968年生まれ。中卒の両親をもち、自らも中卒。娘と二人三脚で難関中学を目指した著書『下剋上受験』(産経新聞出版刊)は、中学受験の常識を打ち破り話題に。現在、「マイナビ」の家庭教師派遣サービス「下剋上コース」の監修や講演活動も行う。