目次
Page 1
ー 離婚は自分から切り出した
Page 2
ー 実家で暮らすことは考えられなかった
Page 3
ー インスタでの発信を始めたきっかけ

「専業主婦しかやったことないのに、どう生きていくんだ?」夫から投げつけられた言葉に足がすくむも52歳で離婚したハナ子さん。地元・北海道から東京に住まいを移してのひとり暮らしに「平穏で幸せな毎日です」と笑みをもらす。熟年離婚が年々増加し続ける現代。「踏み出せない一歩に悩んでいる人の一例に」と自分の過去を語ってくれた。

離婚は自分から切り出した

 一昨年、東京でのひとり暮らしを始めたハナ子さん。10年前、52歳で離婚を経験している。当時は札幌市内の一戸建てに住み、医師の妻であり2人の娘にも恵まれ、はたから見れば「幸せそのもの」な生活のようだが─。

「娘たちが中学に入学したころから、言いようのない寂しさと焦燥感に襲われるようになったんです。“やるべきことを、やっていない”という感覚があって。それに“いつも私だけが”という思いもありました。

 『今日は家で映画を見ながらごはんを食べよう』というときも、食事のしたく、後片づけ、お風呂の用意、ずっと立ち働いているのはいつも私。家事は完璧で当たり前。完璧でなければ文句を言われる。そんな思い込みまでありました」

 以前から、数年にわたって奇妙な夢を見続けていたという。

当初、夢は何か病気の暗示なのかも、と思っていました。夫と2人、脳の検査や内視鏡を使っての精密検査まで受けたんですが……

 身体に異常はなかった。それは離婚を案じる予知夢だったのかもしれない。夫婦の会話はほとんどなくなっていて、LINEを通して連絡するのみになっていた。ハナ子さんは何年もの時間をかけて、自問自答して結論を出した。

子どもたちがいない時間を探して、静かに“離婚しませんか?”と私のほうから切り出したんです

きっかけとなった投稿は766万再生。現在ハナ子さんのアカウントはフォロワー約8万5000人(本人インスタグラムより)
きっかけとなった投稿は766万再生。現在ハナ子さんのアカウントはフォロワー約8万5000人(本人インスタグラムより)

 唐突に思える「離婚」という言葉に、夫は驚いたかもしれない。

夫は“おまえって恐ろしい女だな”と。“どうやって生きていくんだ?”とも言いました。結婚以来ずっと専業主婦でしたから、どんなことがあっても出ていかないと思っていたのでしょう。私も“資格も持たず離婚して本当にやっていけるだろうか?”と、不安は当然ありました