森友学園と関係があった稲田防衛相は8日の参院予算委で、「教育勅語の精神である道義国家を目指すべき」「親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切に維持している」などと答弁した。
「親孝行し、きょうだい仲よくし、夫婦も仲よくし、友人を信頼すべきとの内容を持つ教育勅語は、一見するといいことを言っているようにも思えます。
ただ、稲田氏の発言は“木を見て森を見ず”といえます。親孝行すべきなどという文言は、自分の親に孝行するように、国民の親である天皇のために死になさいという結論を導くために利用されました」(前出の飯島教授)
国会で稲田氏に対し、教育勅語への考え方を質(ただ)したのは社民党副党首の福島瑞穂参院議員だった。稲田氏が過去の雑誌の対談で「教育勅語の精神を取り戻すべき」と発言していたことについて、考えを変えたかどうか迫った。
「私は教育勅語の核は、国家の一大事のときには天皇のために命を捧げなさいという部分だと思います。いまの象徴天皇・国民主権とは合致しません。だいいち国会議員も大臣も憲法尊重・擁護義務があります。稲田さんは“核の部分は正しい”などと認識が間違っています」(福島氏)
それだけではすまない。安倍首相の“お気に入り”とされる稲田氏は、女性閣僚として重責を担っている。
「防衛大臣は自衛隊員の命を預かっています。命を大事に撤退しろとせず、国のために大事なことだからと判断を間違えるおそれがある。戦争では多くの若者の尊い命が奪われました。その反省が全くありません」(福島氏)
稲田氏は、籠池氏との関係をめぐる国会答弁が虚偽だったことが判明し、ピンチに立たされている。自信たっぷりに「籠池夫妻から法律相談を受けたことも裁判に行ったこともない」と断言しておきながら、出廷の証拠が明らかになると「記憶違いだった」と訂正・謝罪した。さらに南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸上自衛隊の“廃棄した日報”についても、データが陸自内にあったことがわかり、責任を問う声は大きくなるばかりだ。
ジャーナリストの須田慎一郎氏は「ウソの答弁をした責任は重い」として、次のように話す。