「家族のひと言! これが効きました。巷ではいろいろと事故も起きているから、それを考えて家族も言ってくれたんでしょう。親身に思ってくれていてありがたい」
3月29日、警視庁のイベント『春の交通安全運動統一行事』の一環で、高齢ドライバーの事故防止に向けた運転免許証返納式に出席した高木ブー。長女から返納への助言があったことを明かした高木に対し、返納免許証を受け取った小池百合子都知事は、
「お嬢さんの心配の声もあって今回、返納されるということで、高木さんが今後ひとつのモデルになると思います」
と、今後の高齢者ドライバーからの自主返納促進に期待を寄せた。
5人に1人が65歳以上の高齢者
「昨年10月には87歳の高齢者が運転する軽トラックが、通学中の小学生の列に突っ込んで男児が犠牲になりました。“なぜあの場所を走っていたのかわからない”と話していた運転手は、認知症で判断能力欠如の可能性があるとされ不起訴となりました。
12月には80歳の運転手がブレーキとアクセルを踏み間違え、高校生をはねて死亡させました。ほかにも高速道路の入り口を間違えて逆走する高齢者が相次ぐなど、大惨事にもつながりかねない事故が起きています」(全国紙記者)
いわゆる高齢運転者が“第1当事者”となった、自動車人身事故が多発している。警察庁の統計によると平成28年の発生事故数は約50万件で、うち65歳以上の事故は約10万件と5分の1を占める。
事故件数そのものは年々減っているものの、高齢者の占める割合は増えているようだ。そして運転免許保有者の5人に1人が65歳以上の高齢者という現状は、高齢化社会が進む将来は4人に1人、2060年には2・5人に1人になるとみられている。
そんな背景もあり、各自動車メーカーは自動ブレーキなどの制御装置を装備させ、またアクセルの踏み間違えを防ぐ安全装置も売り上げを伸ばしているという。このような高齢者の運転サポートが充実していく一方で、それでも彼らの免許制度の厳格化、そして免許自体の自主返納を促す動きが活発になっている。
3月12日には、高齢者運転対策として法律が改正された。75歳以上のドライバーは例外なく免許更新の際に認知機能検査を受けねばならず、医師の診断を受けない場合、また認知症と認められた場合は免許取り消しとなる。そして機能検査をクリアした後に、2時間と3時間の受講者に分類され、それぞれ講習を受けなくてはならない。
また免許更新時以外でも、認知症などの“診断”が徹底されているという。全国交通安全協会によると、
「例えば、運転の際にお年寄りが一定の違反をした場合。信号無視をしてしまった、曲がるべきところを曲がらずに行ってしまった、止まるべきところを止まらなかった、などの違反をした際に、“検査を受けてください”とすすめているのです。そういった中で認知症などが診断されると、そのときは免許返納を促したり、あるいは停止、取り消しになることもあります」
とはいえ、他者から進言されるよりも、自分の意思、または家族による説得がやはり重要なのだという。