20年前、’90年代に青春あたりをうろうろしていた多くの映画ファンにとって、『トレインスポッティング』は特別な映画だ。筆者もガツンときてシビレて、何度も繰り返し見たものだ。スコットランドにくすぶる、貧乏でロクデナシでバカでジャンキーなヤツらの話なのに、なんでこんなにカッコいいのか!? まさに中毒者を生むドラッグムービーなのだ。
そんな青春映画の金字塔に、20年ぶりの続編が登場したのだ!
これはもう事件ですよ、奥さん。高くなったハードルを超えられるか不安? 心配はいらない。ダニー・ボイルも役者たちも天才。そこには、見たかったヤツらの20年後が映し出されている!!
物語は前作のラストで街を去ったレントン(ユアン・マクレガー)が、20年ぶりに戻ったことから動きだす。前作の鑑賞は必須。できれば何度も見て、各キャラクターに古い友人みたいな愛着を抱いてから挑むのがベストである。
「人生を選べ」「未来を選べ」とレントンは言った。ヤツらは20年の間に何を選び、選べなかったのか。月日はヤツらをおっさんにしたが、前作にあったエッジのきき具合や疾走感、神った選曲は健在! 回想シーンを挟みながらもセンチメンタルになりすぎず、前作と呼応するようなシーンとストーリー運びで「時」の姿を描き出す。くー、シビれる!
最高に素敵なのは、ヤツらが1ミリも大人になっていないことだ。もうバカのまんま! 社会も人間も、そうそう変われやしないのだ。「お前は何を選んできた?」と問われているような気になり、変わっていない自分を再発見する……、かも!?
文/若林ゆり