「ホームドラマで父親役とか、社会派ドラマで猟奇的な役とか、とにかく今、僕の中での新しいものに挑戦したいんです。この映画でもこれほど激しいアクションに向き合うのは初めてだったけど、演じていてアドレナリンが出たし、大変だけどすごく楽しかった。まだまだやってない役柄のほうが多いなって改めて思いましたね」
タツノコプロ55周年記念作品となる映画『破裏拳ポリマー』で、溝端淳平(27)が本格的アクションに初挑戦。ここだけの秘話を聞くと、
「監督がもともとアクション俳優だったので、4か月くらい、じかに教えてもらい練習しました。参考にしたのはブルース・リーのキレイな動きとジャッキー・チェンの楽しませるアクション。実際にやってみると2人のすごさを改めて知って見方が変わりました。本当に別格! 現場でアクションを監督とひとつずつ作り上げるのはすごく自分に合っていると思いましたし、また挑戦してみたいですね」
溝端自身も’07年に俳優デビューし今年10年。「何か節目という感じはなくて、まだまだ10年なんだなって」と謙虚に答えながらもこう振り返った。
「最初は芝居の楽しさもわからないまま、ただ周囲の期待に応えなければというふうに仕事をしていた時期もありました。やっぱり『ムサシ』という舞台で蜷川幸雄さんに出会ったのは大きかったですね。とにかく稽古(けいこ)でさんざん罵倒(ばとう)されたんですよ(笑)」
そこから考えが一変した。
「その時期、俳優というより人生にも悩んでいたんです。でも、さんざんダメ出しされて、自分に才能なんてないし、たまたま運よくこの世界にいれるんだって思えてから、変に自分を過大評価して落ち込まなくなった。蜷川さんがぶち壊してくださったことで、自分にどこか自信がついたし、芝居に対する思いも変わりましたね」
一方、普段の生活については?
「演技論というほどではないですけど、最近飲みながら、見た映画やドラマの話とかを語るのが好きなんだって思います。語り合うのは先輩が多いですね。『ムサシ』で共演させていただいた藤原竜也さんや吉田鋼太郎さんとか。
鋼太郎さんには、演技で悩んだときに夜中に台本を持って押しかけて稽古つけていただいたこともありました。鋼太郎さん出てないのに(笑)。厳しい人ですけど、技術的なことを多く教えていただいて、僕の中では師匠。いつも可愛がっていただいて感謝ですね」