TBSの“宣伝活動”が、説明不足で芸能マスコミのひんしゅくを買っている。
「タレントには非がまったくないんですが、あの宣伝のやり方はだまし討ち。TBSがルールを破ったと思われても仕方ない。現場に集まった取材メディアは『あそこまでやるかね、他局に平気で損をさせることを』ってブイブイ文句を言っていましたよ」
芸能ニュースサイトの記者がそう伝える事件が起きたのは今月19日。東京・渋谷109前で、お笑いコンビ、オードリーの春日俊彰(38)が登場するイベントがあった。
「イベントは、エアロビ日本一を目指す春日が渋谷で“ゲリラエアロビクス”をやります、というものでした」(民放番組ディレクター)
文面を読む限り、TBSの文字はどこにもない。イベントの後に囲み取材もある。春日というネームバリュー、人気、発信力を考えれば、
「当然、芸能デスクも、各テレビ局の取材クルーを配置するわけです。次の日の番組でオンエアする予定で、カメラマン、音声、ディレクター、AD4人で取材に行きました」(前出・番組ディレクター)
ところが現場には、なぜかTBSの広報担当者がいる。
「しかも配られた紙資料には、〈この全貌は、9月23日(土)18:55~TBS『炎の体育会TVにて放送致します!!』と書かれていたんです〉(前出・番組ディレクター)
ここで民放取材班は、この取材は「TBSの番組宣伝である」と知る。取材クルーに配られるシールも、TBS宣伝部の名前が入った番組取材用のシールだ。
「通常、テレビ局は自局の番組宣伝の取材に他局は呼びません。結婚や事件などよほどの話題を持っていない限り、来ないですし、オンエアもできないからです。その暗黙のルールを破ってしまった。取材クルーを1班出すだけで、日当が12〜13万円かかるんです。それを平気で無駄にするんですから、どういう神経をしているんか聞きたいですね。本当にあきれました」
と、別の民放番組ディレクターも怒り心頭だ。
19日にビデオリサーチ社が発表した視聴率調査(関東地区)でTBSは、25週連続で記録していた王者、日テレの週間三冠王を阻止した。鼻息が荒いのは分かるが、他局に損失を与えるやり口は容認されない。
TBSに、この件についての事実関係を問い合わせると「他局に取材リリースは送っていません」とのこと。
「今回は春日の事務所から各局にリリースが送られ、そこにTBSの番宣が絡んでいるという記載がなかったために、他局が無駄足を踏むことになったんです。TBSだけのせいにするのはちょっと違うかもしれないけど、制作会社に払う日当を保証してほしいね、って芸能デスクもカンカンでした。
でも、おかしかったのはTBSの取材クルーも、ここに来るまで“番宣だとは知りませんでしたよ”って嘆いてました」(前出・別の民放番組ディレクター)
テレビ局の番組宣伝や、芸能イベントの取材合戦。日々、駆け回るマスコミ陣の取材活動には隠れた努力や苦労がいっぱい。だからこそ、人をだますような手口だけはいただけない。
<文/薮入うらら>