今年も残すところ1か月を切ったが『日馬富士暴行事件』はまだまだ長引く気配だ。
社会、スポーツ、芸能の要素を含んだこの事件を凌ぐ話題が出てきていないという状況もあるのだが、このところ芸能ニュースの影が薄い。
だからと言うわけじゃないが、今年の芸能界、特に芸能ニュースの“神髄”と言っても過言ではない『不倫騒動』を振り返ってみた。
年が始まって早々に発覚した、袴田吉彦の『アパ不倫』騒動を皮切りに、11月末までに報じられた『不倫疑惑』は数えられるだけで、政治家、F-1ドライバーも含めると13件に。ちなみに、ベッキーやファンキー加藤の騒動があった昨年は16件。
だがそのすべてが、業界で言われるところの“弾けた”、つまり話題になって盛り上がったわけではない。
今年、注目されたのは袴田吉彦、渡辺謙、船越英一郎、今井絵里子、宮迫博之、斎藤由貴、山尾志桜里くらいだろう。ほかにマギーや大塚愛の夫であるSU、田中哲司、ダンテ・カーヴァー、板尾創路らの『不倫疑惑』が報じられたが、騒がれたのは一瞬だけだった。
テレビやスポーツ紙が週刊誌報道を後追いして、大きく取り上げるものと、そうでないものの違いはいったいどこにあるのか?
「こういうドロドロした話を好むのは特に年配の方です。特に40代以上の女性、彼女たちが認知していることが第一です。その上で人気もあること。
次はギャップ。不倫なんてありえないと思われている人。これはベッキーが顕著な例ですね。また、不倫が絶対悪だとされている政治家。その人たちのスキャンダルは注目されやすいですよね」(写真誌記者)
ただ、スキャンダルを報じる週刊誌も以前とは状況が変わってきている。
「昔は芸能人のスキャンダルでも、ネームバリューがあって、内容が面白そうなものにしか飛びつきませんでした。過酷な張り込みをしてできた記事が振り向きもされなかったら悲しいですからね。
でも今はスクープを撮ること自体難しいですから、そんなことは言ってられません」(前出・写真誌記者)
しかし中には知名度も人気もある芸能人のスキャンダルが、テレビなどで大きく扱われないことがある。
「不倫騒動の一次情報はほとんどの場合、週刊誌(ニュースサイト含む)が最初にスクープしています。
そして、スポーツ紙やテレビのワイドショーが“後追い”するのが通常の拡散経路ですが、それがまったくなされないことがあります。そうなると騒動はすぐに収束してしまうんですよね。
もちろん、読者も視聴者もよくわかっていると思いますが、そこにはいわゆる“大人の事情”が存在しているんですよね」(スポーツ紙記者)
政治に比べたら罪はないが“忖度”が芸能ニュースをつまらなくしている。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。