ブロードウェイで大ヒット中のミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』や、日本でも人気を博したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』、『グレイテスト・ショーマン』の楽曲を手がけた作詞・作曲家デュオ、ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが学生時代に生み出したデビュー作が日本で初上演される。それだけで期待度が高まるミュージカル『EDGES─エッジズ─』は、3組の演出家×音楽家×出演者チームで連続上演されることでも注目。
  
 チームツインズに主演する太田基裕さんに作品の魅力などについて聞いた。

リアルな感情をメロディーに乗せられたら

実はだいぶ前に、彼らが手がけているとは知らずにミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』のアルバムをダウンロードして聴いていたんです。王道のミュージカルの楽曲とはちょっと違うポップス寄りなアレンジのキャッチーなメロディーが好きで、いつかブロードウェイで見たいなと思っていました。

 なので、今回『エッジズ』に出演させていただくことになって、『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』よりも『ディア・エヴァン・ハンセン』のほうに食いついてしまいました(笑)。『エッジズ』の音源も聴かせていただきましたが、やっぱりすごくキャッチーな楽曲ばかりで楽しみです」
 
 今作は、“大人になるとはどういうことか?”というテーマのもとに、1曲1話完結の楽曲をオムニバス形式で綴る“ソングサイクル”形式のミュージカル。さまざまな抱えた胸のモヤモヤに苦悩する4人の若者が、それぞれの歌のなかで人生の意味を問いかける。

面白いなと思いましたけど、セリフもないですし、お客様の心に響くように1曲1曲にちゃんと感情移入させるっていうのはそうとう難しいチャレンジ。だからどうなるんだろうっていう不安もあります。でも、ひとつの役を通して演じるのとは違うので、自分の日ごろの思考や感覚的なものがより出ると思うんです。それがこの作品の魅力なのかなと。

 だからこそ、3チームでやる意味があるのかなと思うんですけど。役者本人が日ごろどういうことを考えていて、どういうことに共感して、どういうことを訴えながら生きているかってことを、それぞれの歌の中の人物とすり合わせて表現することができたらいいですよね。どう生きればいいのかとか漠然とした不安は経験してきたことなので、そこは自分のリアルな感情をメロディーに乗せることができれば、嘘っぽくなく伝えられる気がします

 太田さん自身も、今作の登場人物には共感できるという。

「歌詞を読んで、なんか自分はぜんぜん成長していないなって思いました(笑)。わかるわかるってところがたくさんあって。今年、33歳になったのですが、33にもなったら、もう何でも知ってるんだろうって思っていましたけど、ぜんぜん世間知らずだし(笑)。それこそ、自分はいったい何者なんだ、何のために生きているんだみたいなことは、常日ごろから考えていますし。そういうところも楽曲に乗せていけたらいいなと思いますね