新型コロナの感染拡大が続く中、より厳しい生活を余儀なくされている障害者。当事者や介助者がその不安な胸の内を明かした。
タレントの江頭2:50らが所属する芸能事務所『大川興業』の代表取締役総裁でタレントの大川豊(58)が今月4日、フリーランス記者として安倍晋三首相の会見に出席。同伴者なしでは外出できない知的障害者の子どもたちに対する行動指針などをただした。政治記者以外の視点による質問が安倍首相を慌てさせ、ネットで喝采を浴びた。
職員が感染すれば「介護崩壊」も
新型コロナ対策を政府に具申する諮問委員会の尾身茂会長は、従来の「フィジカルディスタンス・マスク・手洗い」の3原則を繰り返したが、介護の現場は常に命の危険と直結する緊張感が張り巡らされている。
「自分で身体が動かせない方は排泄しかり、飲み物を飲むことしかり、第三者が介入しないと生きることができません。人工呼吸器の人たちは痰吸引の必要もあります」
筋ジストロフィーなどの難病患者や身体障害者を24時間体制で介助する『ぴあ・ぱれっと』の管理者はそう訴える。当事者と介助者の関係は接触なしでは成立しない。そのジレンマと不安に職員は苦しんでいる。
「食事の介助も換気をしながら行う、長時間の介助のときは2メートル以上、間を空けるなどのルールも決めています。何よりも徹底させていることは職員自身が感染しないこと」
在宅で支援を受けながら生活する当事者のもとには介助、医療など複数の関係者の出入りがある。そのため、ウイルスが持ち込まれれば当事者はもちろん、当事者を介してほかの支援者に感染が拡大するおそれがある。
「公共交通機関で移動せざるをえない職員もおり、自分が感染させてしまったらという不安は常にあります。職員が感染し、自宅待機になれば現場は回らなくなり、利用者は生きていけない。介護崩壊が起こります」
同行支援を断られ、窮地に立たされる視覚障害者
フィジカルディスタンスを優先できない介護現場。視覚障害者たちも、同様の課題に直面している。
視覚障害者を支援する『視覚障害者支援協会・ひかりの森』理事長の松田和子さんによると、当事者は糖尿病などの合併症や緑内障など目の病気の進行により、中途で視覚障害を負ったケースがほとんどだという。そのため、生活訓練や通院は欠かせないのだが、
「慣れない場所へ同行支援してくれるヘルパーさんと一緒だと安心できるんですが、感染防止のために2メートル離れるというのは不可能なことです。
同行支援やヘルパー事業所に断られ窮地に立たされている方もいます」