「幽霊が出る」そんな噂の絶えない場所で肝試しの経験がある人は少なくないのでは。しかし、実はそうしたスポットは街中にいくつも潜んでいる。蒸し暑い夏に思わずゾッとするような恐怖体験の数々を聞いた。
都内の心霊スポットに潜入
心霊スポットで本当に幽霊には会えるのか? 怪奇現象や噂されるような霊現象は真実なのか─。検証するため、記者は潜入を試みた。
子どものころから日常的に金縛りや不可解な体験を繰り返す記者はどうやら霊感があるほうらしい。では、そんな私の前に霊は現れるのか。
向かったのは東京都内『最恐』と言われる新宿区の「T公園」。怪談師の吉田悠軌さんによると、
「公園内にある『箱根山』という場所に白い服の幽霊や火の玉が出る、ということが昔から言われています」
ほかにも「白い人影を見た」「軍靴の足音を聞いた」とささやかれていた。
実はそんな噂が真実味を帯びた出来事があった。
1989年、公園に隣接する病院の建て替え工事をしていたときに数十体の人骨が出てきた。
「公園一帯は戦前、旧陸軍の病院がありました。人骨はその当時の検体や標本、もしくは“731部隊の被害者ではないか”とも言われています」(吉田さん)
『731部隊』とは旧陸軍に存在した研究機関で、正式名称を関東軍防疫給水部という。戦時中、細菌兵器や生物兵器の開発のために、人体実験を繰り返していた。
「公園の地下には旧陸軍の地下施設があり、まだ使われている、という都市伝説もあります。ただ、そうした話には夢があり、面白いところでもありますね」(吉田さん)
7月末の深夜。まるで行く手を拒むかのような土砂降りの中、カメラマンとともにT公園に向かった。
途中、公園の目と鼻の先にある元国家公務員宿舎の廃墟に立ち寄った。老朽化を理由に閉鎖、現在は仮囲いがされているが建て替えが進んでいるような気配はない。
「確かに壁が崩れるなどあったようですが、“出る”という噂も絶えなかったようです。ここも旧陸軍病院の関係の土地で大量の人骨が発見されています。未発掘の遺骨が眠っているとも言われています」(心霊ライター)
そしていよいよ問題のT公園に足を踏み入れた。街灯も少なく、陰鬱な気配を公園自体が発しているような、重い空気が漂っていた。