「10席の小さなバーですから、正直なところ協力金をもらい続けた方が儲かります。コロナが収束してほしいと願う一方で、緊急事態宣言が“延長”と聞くとラッキーと思ってしまう自分がいる」
と、語るのは都内にある飲食店の経営者。長引くコロナ禍で、営業時間の短縮に応じる飲食店に協力金が支払われるようになったのは、昨年4月の緊急事態宣言のときのこと。以降、国や自治体は、協力する飲食店に対して『感染拡大防止協力金』を支給し続け、冒頭のように話す飲食店も出現。“協力金バブル”なる言葉まで生まれてしまった。
今年1月に再び緊急事態宣言が発令された際は、1店舗あたり一律6万円/日に引き上げられた。そのときから協力金を申請した、都心でガールズバーを経営していたA氏は次のように話す。
「僕の店は、20坪で賃料が50万円ちょっとでした。最後にお店を開けたのは去年のクリスマス。今年に入ってからは1日も開けずに、7月いっぱいで店を閉めました。コロナ前は毎日営業でオープンは20時だったので、協力金は満額を請求でき、ありがたくいただきました。
ここだけの話、通常営業より店を閉めて協力金をもらっていたほうが利益はありましたね。今はもらった協力金を元に、神奈川に一軒、新しく店をオープンしました。賃料は、閉めた店の1/2ちょっとくらい。協力金は、お店を出す資金に充てました」
現在、協力金は「事業規模」や「前年又は前々年の1日当たりの売上高」などによって支給額に差異があり、一律ではなくなった(さらに地域によって支給額も異なる)。
飲食店を敵視する消費者
しかし、年が明けて以降、東京に関して言えば、9月30日時点で緊急事態宣言ではなかった日は、全日数の約25%しかなく、申請した飲食店には給付金が支給され続けている。
宣言下ではない『まん延防止等重点措置』期間においても同様の措置であったため、いよいよ飲食店を敵視する消費者まで現れる始末だ。
週刊女性PRIMEが、首都圏の飲食店経営者・自営業者約150人を対象に緊急アンケートを実施したところ、協力金を加算しても、コロナ前よりも収入が落ちた店は88%、上がった店は12%という結果だった。
あくまで週刊女性アンケート上ではあるものの、全体の1割ほどしか“協力金バブル”の恩恵を受けていないことになる。ところが、飲食店憎しの声は少なくなく、協力金によって飲食店と消費者の間に壁ができている感は否めない。