《この女性は誰ですか》
《悪名高い反中右翼夫人》
このようなやりとりが行われているのは、中国版ツイッターの微博。今、中国のネット上ではデヴィ夫人に非難の声が集まっている。
「彼女はインドネシアのスカルノ初代大統領と'62年に第3夫人として結婚。'65年に大統領がクーデターによって失脚した後は、日本に帰国してタレントとして活動を始めました」(芸能プロ関係者)
いったい、何があったのか。キーマンとなったのが、張哲瀚(チャンジャーハン)という、日本ではあまりなじみのない中国の若手俳優だった。
「彼は端正な顔立ちで“公主(プリンセス)”と呼ばれるほどのイケメン。今年2月に主演した中国の時代劇ドラマ『山河令』は大ヒットし、たちまち人気俳優になりました」(スポーツ紙記者)
しかし、8月に彼の運命は一変する。
中国のネットユーザーが敏感に反応して
「張さんが'19年に来日した際に観光で靖国神社を訪れたり、乃木神社で行われた友人の結婚式に参加した際の写真が、ネット上に流出したんです。靖国神社は太平洋戦争のA級戦犯を祀っていますし、乃木神社は中国の支配権をめぐった日露戦争で指揮を執った乃木希典大将を祀っていますから、現地では忌み嫌われています。たちまち炎上し、瞬く間に彼は芸能界から追放されてしまいました」(中国に詳しいライター)
彼が列席した結婚式に、偶然居合わせたのがデヴィ夫人だった。彼女は自身のブログに張とのツーショット写真を掲載。今回の炎上でその写真が発見され、彼女のブログの内容が中国のネットユーザーにも知られることに。
「夫人はたびたび歴史問題に関する発言をしています。過去のブログでは、首相の靖国参拝を支持して“日本の誇りを取り戻しましょう”と綴ったりもしていました。それを知った中国の人たちが、敏感に反応したのでしょう」(同・ライター)
冒頭の夫人への攻撃にはこういった経緯があった。とんだとばっちりだが、当の本人はこの騒ぎを知っているのか。9月下旬に取材を申し込むと、すぐに彼女から電話がかかってきた。
「私、明日から『イッテQ』の撮影でロケに行きますの。ご用件は?」
中国での炎上騒ぎを伝えると、たちまち不快感をあらわに。
「まったく知りませんでしたわ。本当に無礼ですわよ!」
自分が“反中人物”なんてとんでもない、と憤慨する。むしろ、中国との友好関係を築くことに尽力したという。
「1960年代はスポーツと政治が密接な時代で、共産主義国家の中国はオリンピックに参加できませんでした。そこで夫は'66年に『新興国スポーツ大会』をインドネシアで開催し、中国を招待するなど、スポーツを通して交流を進めてきました。中国を国連の加盟国にしたのも夫です。彼は常々“真の民族主義は、他民族を尊敬することから始まる”と申しておりましたわ」
張と夫人のツーショット写真が、日中友好の証と受け取られることを願いたい。