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ー いつもは普通の女の子

 

 北京五輪のスピードスケート女子1500メートル、そして500メートルの2種目で銀メダルを獲得した高木美帆選手。競技中での真剣な眼差しや、日本選手団の主将も務める責任感の強さからは想像できないが、彼女の素顔は「普通の女の子」なのだとか。そんな高木選手が地元・北海道に帰省した際には必ず寄る“パワースポット”があるようでーー。

 スピードスケート女子1500メートルで銀メダルを獲得した高木美帆。同種目では、平昌五輪に続いての、銀メダルとなった。

「一生懸命になんでもやる。本当にまじめでいい子です」

 そう話すのは、高木の地元である北海道幕別町の『スケートプロショップおおさか』の松田記一さん。松田さんは彼女のスケート靴の調整を長年担当してきた。金・銀・銅の3つのメダルを獲得した平昌五輪で使用した靴も、松田さんがブレードを調整した。

「現在は靴の調整は担当していませんが、ときどき顔を見せに来てくれます。会ったときには、あまりスケートの話はしません。出演したテレビで会った芸能人の話とかですかね」(松田さん、以下同)

 今大会、高木は計5種目に出場する。

「頑張りすぎじゃないですか?(笑) 北京五輪が終わったら羽を伸ばしてほしいなと思います。コロナが落ち着いたら、くだらないお話をゆっくりしたいですね」

 同じく幕別町にある“札内神社”。平昌五輪前の年末年始には、3日連続でお参りするなど、彼女にとってなじみ深い神社だ。宮司の岩崎寿宣さんに話を聞いた。

「毎年シーズン前の秋にお参りに来てくれています。正月に帰省した際にも、必ず初詣にいらっしゃいますよ。北京五輪前の今年の正月にも参拝にみえました」

 高木が札内神社に通うのは、小学生時代からだ。

バンクーバー五輪のときには、姉妹そろって巫女のご奉仕をしに来てくれました。昔からお母さんがお手伝いをしてくれていたのですが、巫女さんの集まりが悪かったときに、お母さんが高木姉妹に頼んでくれたんです。そしたら“ぜひやりたい”と言ってくれたそうで、お手伝いしてもらいました」(岩崎さん)

いつもは普通の女の子

 シーズン前の参拝では、必ずお祓いや祈祷を受ける。

明るくて前向きな人ですね。落ち込んでいるところは見たことがありません。競技中の彼女を見ていると、本人とわかっていても驚きます。いつもは普通の女の子なので、勝負のときの真剣な表情はまるで別人のように見えます」(岩崎さん)

'18年の平昌五輪後、『にんにく屋嘉六』に来店。店主は高木の凱旋を心待ちにしている
'18年の平昌五輪後、『にんにく屋嘉六』に来店。店主は高木の凱旋を心待ちにしている

 学生時代の高木の行きつけである、横浜市内の洋食店『にんにく屋嘉六』。店主の中村嘉一郎さんに彼女の印象を尋ねると、うれしそうにこう話した。

「日本体育大学のキャンパスが近くにあったので、大学2年生のときに友達と来たのが初めてじゃないかな。平昌五輪が終わった後にも来てくれて、メダル獲得の報告をしてくれたよ。そのときに一緒に写真を撮ってもらったんだけど、こっちの背丈に合わせて、かがんでくれる優しい人だったね」(中村さん、以下同)

 冬季五輪日本勢最多となる4つのメダルを獲得した高木は、現役の日体大の選手にとっても憧れの存在だ。

「コロナで売り上げが下がったときもあったけど、高木さんの行きつけと知って、来店してくれる日体大の学生も多い。感謝しかありません」

 ちなみに高木がいつも食べるのはハンバーグ。

「今回も大学にメダルの報告に来た後に、寄ってくれるとうれしいね。そのときは大きなハンバーグを振る舞いたい」

 さらなるメダル獲得で、いいお礼参りにしてほしい!