2022年10月から放送されているドラマ『ザ・トラベルナース』(毎週木曜21時〜テレ朝系)の視聴率は全話で10%を超え、好調をキープしつつ12月8日に最終回を迎える。
「昨今、テレビドラマは視聴者から『脚本が面白くない』と評価を受けがちですが、この作品は中園ミホさんの脚本が秀逸で、人気を博しています」
ドラマとは異なる実際の現場は
そう好調の理由を分析するのは、事前に台本を読み“これは跳ねる”と感じたというメディア研究家の衣輪晋一氏。
「秀逸な理由は物語のよさだけでなく、中井貴一さんと岡田将生さんが演じることを踏まえての設定です。テレビ全盛期を熟知した世代の中井さんは、ご自身の経験を岡田さんに伝えたいと話していました。その師弟のような関係性はドラマの役設定と一致しており、まさに“ハマり役”となっているところが作品の面白い理由だと思います」
中井演じるベテランの“スーパーナース”。ドラマでは岡田演じる若き男性ナースに大切なことを伝えている。だが、こうした関係性というのは実際の看護現場ではかなり稀なようだ。では、男性看護師の実情とはどんなものなのか?
話を聞いたのは、現役男性看護師のシンジョーさん(29)とイデさん(30)。看護師の日常の様子を配信するYouTubeチャンネル「NASMEN CHANNEL」を運営する2人だ。ともに看護師歴7年目。上司といえばほとんどが女性で、まず男性の上司や、40代50代のベテラン男性看護師はかなり珍しいという。一般的にも看護師10人中に男性は1人以下といわれている。
「現在、中高年の男性看護師をあまり見ないのは、看護師になろうという男性が昔は少なかったからだと思います。なったとしても、職場に居づらかったのもあるのかなと。何かと悩みだらけなのに、まわりは女性ばかりだと相談しづらいことも。男性だからという理由でつらいことはあると思います」(イデさん)
厚生労働省の統計によると男性看護師の人数は右肩上がりではある。2016年からの2年間だけでも約1・1万人増加。とはいえ2018年時点で男性の割合は全体の7・8%とまだまだ低く、年齢別で見ると中高年の看護師はかなり少ない。
「看護学校時代の同期の男性看護師たちもみんな辞めちゃいました。新人のころの前残業はよくありましたし、忙しいことが理由なのはあると思います」(シンジョーさん)
ただ、忙しさのほかにも幾つかの辞める理由が推測される。
「仕事でミスしたときは徹底的に犯人探しをしたり、プライベートな噂が回る速度が異様に速いのも、辞める理由かもしれません。この業種ならではだと思います」(シンジョーさん)
激務や給与面などで辞めてしまうこともある。だが、女性看護師たちとの人間関係もあるのだろう。