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ー 起用した企業からしたら“マイナスイメージ”

 

 3月20日からメジャーリーグ史上初となる、韓国で開催されたサンディエゴ・パドレス 対 ロサンゼルス・ドジャースによる開幕戦。

 日本のメディアはお祭り状態だったが、そこに水をさすように、ドジャースの大谷翔平選手の通訳である水原一平氏(39)が、「違法賭博」に関与していた疑いで球団を解雇をされてしまう。

「米国のスポーツ専門チャンネル『ESPN』によると、米国連邦政府(FBI)の捜査対象となっている南カリフォルニアの賭博の胴元と、ポーカーゲームで知り合った水原氏は、彼を通じて違法なスポーツ賭博に参加してきたとされています。

 結果、『負け』が込んで少なくとも450万ドル(約6億8000万円)の借金を作ったようです。調べによると、大谷選手の銀行口座から賭博の胴元へ、借金と同額の450万ドルが送金されていることがわかったようです」(スポーツ新聞記者)

 今後、水原氏の違法賭博について、大谷選手が認識した時期や返済に関わった程度によっては、自身の進退にも大きく関わってくる──。

起用した企業からしたら“マイナスイメージ”

 現状、大谷選手は気丈に振る舞っているが、その一方で頭を抱えているのは彼をCMや広告に起用している企業だろう。

 例えば22日、大谷選手が「ブランドパートナー」契約を結んでいる、三菱UFJ銀行が開設している「大谷翔平選手スペシャルサイト」内のウェブCM動画を5本のうち、「アプリで口座開設」など2本が非公開となったことが、SNSで話題を呼んだ。

「同行は非公開の理由について『今回の報道とは無関係』で2本のうち1本は、1月時点で契約期間が終了していたもので『動画の契約期限の到来により1月末に削除した』と説明しています。

 つまり、突然非公開にしたのではなく『リンクの落とし漏れでした』という、人為的なミスを強調していますが、さすがに無理がありますよね」(ウェブメディア編集者)

 そのようなヒューマンエラーが起きるのであれば、それはそれとして同行の信用問題に関わる……。だが、コンプライアンス強化が重視される時代のため、企業からしてみれば今回の措置は適切だったといえるだろう。

「いくら、大谷選手が水原氏に全幅の信頼を置いていたとはいえ、7億円近くもの大金を自身の口座から直接、違法賭博の胴元つまり反社会的勢力に振り込むという行為は、銀行側からしてみるとマイナスイメージにほかならない。これでは『広告塔としての自覚が足りない』という謗りも免れないでしょう」(前出・スポーツ新聞記者)

 また、大谷が広告やCMの契約をしている企業は、三菱UFJ銀行だけではない。

「大谷選手がブランドアンバサダーを務めている『dip』はアルバイト、派遣、社員の求人サービスである『ばいとる』などを運営しています。ただ、人材派遣のウェブサービスを提供している企業にも関わらず、通訳として長年『採用』してきた水原氏の素性を見抜けなかった大谷選手をブランドアンバサダーに起用するというのは、お笑い種ですよね。

 同社は20日に大谷選手を起用した新CMを公開しましたが、これも1日公開のタイミングがズレていたら、SNSで総ツッコミを受けていたかもしれません」(前出・ウェブメディア編集者)

大谷選手がブランドアンバサダーを務めている『dip』のCM(YouTubeより)
大谷選手がブランドアンバサダーを務めている『dip』のCM(YouTubeより)

 大谷選手自身は違法賭博に手を染めたわけではなく、むしろ被害者ともいえよう。それでも、彼が今後、CMや広告の広告塔から外されかねない材料は揃っている。

「直近だと広末涼子がキリンビールの『本麒麟』のCMを降板させられましたが、彼女は何らかの罪を犯したわけではなく、政治的な発言をしたわけではありません。ただの不倫ですよ? やりすぎかもしれませんが、企業は今、過剰なまでにCMや広告に起用したタレントやアスリートの不祥事に敏感になっているのです」

 大谷選手はこれから「最低1年間の出場停止処分」や最悪の場合「メジャーリーグを永久追放処分」を受ける可能性も十分あるという。

 今後の動向がまるで見えない大谷選手。企業は彼の「身の潔白」を信じて起用を続けるべきか、それとも降ろすべきか……。どちらかに「賭ける」必要があるだろう。

(取材・文/千駄木雄大)