「向こうの駐車場で杖をついたおばあさんが警察官4、5人から“ここですか?”などと地面を指差して尋ねられていました。ひったくりにでも遭ったのかなと思ったら、数日後、そのおばあさんが逮捕されたんです」(近所の男性)
警視庁駐車対策課が4月3日、道路交通法違反(無免許・使用制限命令違反)などの疑いで逮捕した東京都練馬区練馬の無職・初山貴子容疑者(77)のことだ。
「仕方ないでしょ」
「都内で2022年5月~12月に違法駐車を13回繰り返し、都公安委員会から今年9月まで計340日間の使用禁止を命じられた乗用車を4月1日に運転した疑いが持たれている。昨年5月に運転免許証を更新せず失効していたため無免許運転でもあった」(全国紙社会部記者)
悪質なのは自宅近くの他人の月極駐車場や路上に無断駐車を繰り返していたこと。
「生活苦から契約していた駐車場は解約し、違法駐車がバレたりバレそうになるたび別の場所に車を動かしてまた違法駐車する悪質さ。利用者側から通報が多数寄せられる中、被害に遭った駐車場の管理人が“違法駐車されている”と通報したのが逮捕のきっかけとなった」(同・記者)
冒頭の目撃証言は、違法駐車していた場所の確認とみられる。初山容疑者は警察の取り調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているというが、警察に連行される際は「車の置き場所がないから仕方がないでしょ」と悪びれる様子がなかったという。
傍若無人なこの高齢ドライバーの愛車は濃い緑色の高級外国産車ジャガーだった。自宅近くの契約していない駐車場にちょこちょこ停めていたほか、荒っぽい運転が目立ち、一部の近隣住民から“ジャガーの女”と呼ばれていた。
「近くの駐車場でジャガーが停まっているのをよく見かけた。コインパーキングもよく利用していて、数か月駐車しっぱなしだったときの精算料金は50万円を超えていたらしいよ」(駐車場近くの住民)
契約当事者にしてみれば、駐車場に停めようとすると他人の車が停まっているわけだから腹立たしかったろう。目撃情報をつなぎ合わせると、近隣の複数の駐車場を“回遊”して犯行がバレないようにしていた可能性がある。
ある駐車場の管理会社の担当者は、
「うちは2022年9月から10回ほど無断駐車されました。どのように見抜くのかわかりませんが、未契約の駐車スペースを選んで停めたりするので囲いを設置して防いだんです。利用者は車を出すとき、三角コーンを置くようになりました。ジャガーの運転者が特定できたので、本人に“困るんです。無断駐車しないでください”と伝えると、“なんで? じゃあ貸して”と反省するそぶりはありませんでした」
と振り返る。