「僕にとっては涙が出るような喜びでした」
国民的勧善懲悪時代劇『水戸黄門』が、4年ぶりに復活! 久しぶりに足を踏み入れた撮影所では、メーク、小道具、衣裳、照明部、録音部……なじみの面々が嬉々として働いていた。ふるさとに戻った気持ちになったという。
「みなさんに"懐かしいな""また『水戸黄門』が見られた"と感じてもらえたらいいなと思いますが、僕としては今回できただけで、もう十分」
レギュラー放送の歴史は42年。東野英治郎、西村晃、佐野浅夫、石坂浩二……と黄門の重いバトンを丁寧に受け継いできたが、4年前、その幕は下ろされた。
「あのときは、闇討ちにあったような思いでした。"うそ!?"と声が詰まってしまってね。"何か俺が悪かったのかな"とも思いましたし」
無念そうに語る。そして、
「里見浩太朗の水戸光圀は、これがたぶん最後だろうな。自分ではそう覚悟してるんですよ。今回、とてつもない視聴率が出て、"おい! これは放っておけないぞ""これからもやろうよ!"となる夢を見るんですよね(笑い)」
黄門という荷物を降ろした後は、ドラマ『リーガルハイ』の執事・服部さんが当たり役となり、映画、ミュージカル、CMと引っ張りだこ。
「この間も映画村で、松平長七郎の格好をしてたのに、修学旅行の高校生に"あ、服部さん!"って言われてね(笑い)」
服部さん役が異ジャンルの中に里見浩太朗を導いてくれたと感慨深げ。
「いろんな仕事ができてね、おもしろい生きる道があるんだなと思いますね。『水戸黄門』が終わったとき"これでご隠居。ゴルフ三昧だな"と思ったのに忙しくて。忙しい中で、また黄門に戻れたのは本当にうれしいし、ラッキーですよ」
もし六代目にバトンを託せたら、"所作指導"としてスタッフに名を連ねたいと笑っていた。
撮影/廣瀬靖士