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 男性は30歳の誕生日までに兵役生活が義務づけられている韓国。それは芸能人も例外ではない。日本での活動に脂が乗っていた27歳の時に入隊した韓国人アーティストのKに、兵役生活を振り返ってもらった。

 休暇は2年間でわずか30日程度。休みの日には彼女とデートする人が多かったとか。ただ、こんな話も……。

「兵役中はだいたい90%が別れますよ。敷地内にある電話ボックスの壁を殴って、手にグルグルの包帯をしているので、誰がフラレたかすぐにわかります(笑い)。軍隊に入る前にあえて別れるカップルもいたり。男性のほうが心配でしょうがなくて、ヒステリックになっちゃうみたいです」

 K自身はというと、昨年結婚した関根麻里と交際中だった。秘訣を聞くと即答で、「ほどよい距離間?」と笑っていた。面会や手紙、電話などでも信頼を築いていったようだ。

「電話も休憩時間だけと決まっていて、同じ建物で生活している約160人に対して、電話ボックスは3~4台しかなかったから取り合いになるんです(笑い)。もちろん先輩から使うから、後輩はあんまり使えない。週に1回使えればいいほうでしたね。それに、外からは電話をかけてこられないシステムなので、相手とのタイミングが合わなければダメなんですよ」

 自由のない兵役中に見いだした、こんな楽しみも。

「週に1回くらい、正直たいしたことのないハンバーガーが出るんですよ。パンにジャムを塗ってパテとキャベツにマヨネーズとケチャップを混ぜたものがのっているんです。軍では『ロッテリア』をもじって“軍テリア”って呼ばれているんです。

 でも、これが楽しみで楽しみで。普通の韓国料理がメーンなので、贅沢ですけどパンとか食べたくなっちゃうんです。外の食べ物みたいな感じで激ウマだった! あと、軍の中でのサッカーを“軍デスリーガ”って言ったりもします。“軍テリア”を食べて“軍デスリーガ”があったら、もう最高の1日ですよ」

 兵役を終え、日本での活動を再開してから時間がたった今、改めて当時を振り返ってみると……。

「行ってよかったなって2年たっても思いますよ。それって何人くらいの人が言えるんですかね。みんなすべて同じ環境で同じ行動をするわけじゃないですか。それで、よかったと思える人と、最悪だったって思う人は紙一重だと思うんです。考え方を変える、ちょっとした違い。最悪って言う人もたくさんいますよ。

 でも、これだけ言えるのは、人と人が戦うとか、銃をこうやって撃たなきゃいけないとか、死を感じたり生々しいことも隣り合わせで、それがいつ起こってもおかしくない。

 そういう緊張感のなかで生活していたというのもよかった気がするんです。ぼくは運よく、自由のない生活のなかで、どれだけ平和で、なんでも手に入って幸せなのに、幸せって思えないことはかわいそうだなと感じました。気づいたことが多かったから、ぼくは行ってよかったと思います」

 もうすぐパパになるKだが、子どもにも行かせたい?

「自分の子どもがどちらの国籍をとるかはわかりませんが、行ってきてよかったことは正直に話してあげたいと思います。判断するのは子どもの価値観だと思うので。軍隊だけでなく、逆境に1度置かれて、すべてを1回失うというサバイバルは経験してみてもらいたいですね」