アメリカン・ドリームというよりは、番狂わせだった。米大手メディアをはじめとして、誰もがヒラリー・クリントン前国務長官(69=民主党)の勝利を疑わなかった。国内でドナルド・トランプ氏(70=共和党)の勝利を的中させたのはジャーナリストの木村太郎氏ぐらい。
トランプ氏はこれまでのあいだに暴言でさまざまな人を敵に回した。移民、女性、イスラム教徒、中国……そして日本。
日本に対しては、まず在日米軍駐留費の負担増を求めてくることが懸念される。トランプ氏は選挙戦で「日本は十分な金を払っていない」として100%負担を訴え、米軍撤退もチラつかせた。片務条約といわれる日米安全保障条約の見直しや、日本の核兵器保有を容認する考えまで示した。
軍事評論家の熊谷直氏は「米国は“世界の警察役から降りる”と宣言したに等しい」として次のように話す。
「アジアのことはアジアで解決してくれということです。そうなると、中国の海洋進出は自力で封じ込めなくてはいけなくなる。
現実問題として、いま尖閣諸島周辺の中国船に睨みをきかせているのは、海上保安庁の巡視船でもなければ、海上自衛隊でもない。その後ろに控えている在日米軍です。だからこそ、日本政府は在日米軍に思いやり予算を計上し、自衛隊は日米合同訓練で汗をかいているのです」(熊谷氏)