その一方、「情報交換ができた」「地域や学校の職員の働き方がわかった」「いろいろな人の考え方を学んでためになった」「先生だけでは運動会もできない」などメリットや必要性を認識する声も。
PTAを廃止した学校では
都内に住む母親は3人の子どもを持ち、現在は小学校のPTAの副会長を務める。
「何回も断ったのですが押し切られました。平日夜の会議には出席できないという条件で受けましたが、2か月に1回、土曜日に会議があります。休みの日ぐらい子どもと一緒に過ごしたいと思うんですけど……その時間が削られて」
と吐露。入会が任意であることは知っているが、入会を拒否したため子どもにしわ寄せがいく現実を目の当たりにしたという。振り返り語る。
「朝の集団登校の見守りを地区ごとの保護者が交代で行っているんです。ただPTAに入りませんという方もいらっしゃって、そうすると朝の集団登校の当番もやらないことになる。それは困ると話し合いをしたようですが、結局、入会はせず、子どもさんはひとりで登校しています。子どもにしわ寄せがいくのは違う気もしますが……」
過去には親が保護者会を退会したことで、その子どもだけ中学校の卒業式でコサージュがもらえず訴訟に発展したケースも。何も悪くない子どもが仲間はずれになるのであれば、廃止を望む声が出るのもうなずける。
'01年、小学校の統合を機にPTAを廃止した東京都西東京市のけやき小学校。廃止から16年たつが、現状はどうなっているのか。
同校の高橋亨校長が取材に応じた。
「PTAはありませんが、保護者の会は存在しています。やっていることはほとんどPTAと同じですね」
なぜ再びPTAのような存在ができたのか。高橋校長は、
「PTAを廃止はしましたが、登下校を見守る地区委員会と各学級の保護者をとりまとめる学校委員会は残っていました。その後、委員会を運営するのに必要なお金の管理をするためには保護者らの組織が必要だということで'10年に保護者の会ができました」
役員の選出が問題となるが、その点についてはどうか。高橋校長が明かす。