もらった愛情を次の世代にバトンタッチ

ラッキィ池田さん 撮影/近藤陽介
ラッキィ池田さん 撮影/近藤陽介
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 本書はラッキィさんが長年ラジオでお世話になった、故・永六輔さんに多大な影響を受けているそうです。

永さんが、スタジオで考えてものをしゃべるのではなく、ラジオの電波が届くところに自分から行って、ラジオを聴きながら働いている人や、街の声を聞いて、それをスタジオで話しなさいと教えてくださったんです。だから永さんの『大往生』じゃないですけど、いろんな情報を集めて、それを面白く伝えるような本になればいいなって」

 その言葉どおり、永さんをはじめ、関根勤さん、片岡鶴太郎さん、毒蝮三太夫さんなど“子ども力”にあふれた人たちのエピソードもたくさん出てくる。

「そういえば、あの人たちって自分勝手で面白いな、紹介したいなと思って(笑)。

 例えばこれは、ゆずの北川悠仁くんがラジオで言ってたことなんですけど、“テクニックだけで曲は書けるようになったけど、今回は気持ちが高ぶるまで待って曲作りをした”という話をしていたんです。やっぱり、そういうアマチュアリズムを大事にしていたり、時々出てくるエラーも取り込むから、みんなが注目するものができるんですよ。

 ゴールデンボンバーも8秒だけの曲とか、CDではなく雑貨として売るとか、そういう今まで誰もやってないことをやって、テンションを上げて楽しんでるんですよね。

 踊りも人間の手足、胴体ですから動きが限られていて、この次はこうなる、という順列組み合わせだけでできちゃったりするんです。でも、そうやってできちゃったりするものは、人々をハッとさせたり、驚かせることは難しいんですよ。

 何か突拍子もないものがポンポンポン! と来るようなものだったり、落差だったりがないとダメなんですよね

 しかし大人の世界には約束事があって、しがらみや忖度などさまざまな障壁が立ちはだかり、なかなか思うようにいかないもの。

「最初は体当たりして壊そうとするんだけど、どうしても破れないものが見えてきて、無理だって思っちゃうと枠組みに収まっちゃう。それでも諦めないのが“子ども力”なんですよ」

 では、子ども力を大人が取り戻すにはどうしたら?

「簡単です。“知らなかった子どものころの自分”を思い出すだけでいいんです。大人ってだいたいのことは経験したり、見聞きして何となく知っているみたいになってる。でも子ども力には、知らないから知りたいという気持ちが大事で、その“知らないこと”が興味を持続させて、仕事でも何でも楽しくするんです。

 子どもは大人よりも劣っているわけではなく、みんなすごくいいものを持って地球に生まれてきてるんです。だから成長するのも大事だけど、そのまま取っておく部分っていうのも必要だよ、ということなんですよね」

 ということで最後はラッキィさんが振り付けしたジャニーズWEST『おーさか☆愛・EYE・哀』のポーズで撮影、子ども力全開で締めくくっていただきました!

『「思わず見ちゃう」のつくりかた 心をつかむ17の「子ども力」』ラッキィ池田=著 新潮社 1200円+税 ※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページに移動します

<著者プロフィール>
らっきぃ・いけだ 振付師、タレント。1959年、東京都生まれ。'80年代からテレビ、映画、CM、舞台などで振付師、ダンサー、タレント、コメディアン、俳優として活動。現在は『いないいないばあっ!』『にほんごであそぼ』(いずれもNHK Eテレ)で振り付けを担当。吉本総合芸能学院(NSC)で講師を務め、作詞家、雑誌連載などマルチに活躍中。

取材・文/成田全

◎取材後記
 この日の取材場所はイカキックスタジオ。名前に既視感が……と思ったら、ラッキィさんが出演した『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』のコントで繰り出していた技の名前! 「イカのフニャフニャしたしなやかな感性と、バチーンとキックするロックなものを結びつけた」そうで、イカにリスペクトしたネーミングなのだそうです。