結婚するカホコがすべきことは?
カホコと初は無職同士で結婚する、というドラマならではの決断をします。いつ芽が出るかわからない(もしかしたら、一生出ないかもしれない)画家志望の初を助けたいと思うのなら、カホコがすべきことは、初を愛することではなく、お金を稼ぐことです。
何か資格を取って学童クラブを軌道に乗せれば、生活の心配を無くすことができます。カホコが稼げれば、初は創作活動に集中することができますし、恵まれない子どもたちが悪い環境にひきずりこまれるのを阻止することもできますから、一石二丁です。カホコの口癖は「人を幸せにする仕事がしたい」ですが、どんな職業につくかはさして問題ではなく、安定して長く働き続けることで、多くの人を幸せにすることができるのです。
前出のDさんにも“分担”をはっきりさせることを提案しました。お母さんに問題が起こった時、最初に相談すべきはお父さんであって、娘の担当ではありません。お父さんとお母さんのコミュニケーションがうまくいかないのは二人の問題なのですから、娘が解決してあげることはないのです。
Dさんに限らず、「お母さんのお母さん役」をやっている娘は、たくさんいます。娘も大好きなお母さんを助けてあげることに、喜びを感じているのかもしれません。こういう母娘の関係を見ていると、思い出すのが「溺れている人の助け方」です。
川や海で遊んでいて、溺れてしまった人がいたとします。みなさんなら、どうしますか?
おそらく、「飛び込んで助ける」という人が多いのではないでしょうか。しかし、救助隊の人いわく、「飛び込むのは、NG」だそうです。溺れている人を助けるには、そもそもかなりの泳力がいります。また、服のまま飛び込んだ場合、いつもと同じように泳げずに、助けようとした人も溺れてしまうことがあるそうです。
それではどうしたらいいかというと、なるべく多くの人を集めて、連携しながら各所に連絡を取ること。溺れている人に浮き輪をなげながら、溺れている人の位置を把握することだそうです。
溺れている人を助けるために必要なのが、まず自分の安全確保であるのと同様に、お母さんを助けるのに必要なのは、娘が自立していること。そのためには、お母さんとある程度の距離を置くことが必要となります。愛しているから、離れる。これが娘の果たす役割だと私は思っています。
愛という名の下に母娘共倒れしないために、どうしたらいいか。Dさんをはじめとする「お母さんのお母さん役」を果たす娘たちに、少し考えてみてほしいと思います。
(文/仁科友里)
<著者プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。近刊は、男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。