今年の8月は、東京では40年ぶりの長雨だったため、ドラマや映画などのロケ撮影はスケジュールの見直しでてんやわんや! 天候に左右される“ロケ撮影”にはほかにもたくさんの“あるあるエピソード”が。見ている側は気づかない、裏での数々の苦労とは──。

20日連続雨のせいで…

 記録的な長雨に見舞われた、今夏の日本列島。ロケ現場では、この悪天候に振り回されて、撮影に苦労したようだ。

「夕焼けのシーンを撮りたくても、1日雨だったりゲリラ豪雨だったりと、雨続きだったため、延期、延期、延期……。外撮影の際は通常、天候なども考慮して、予備日ができるようにスケジュールを立てているのですが、あれだけの雨続きでは予備日貯金は総崩れでした。撮影が難航した作品も多く、CG処理を検討した現場もあったといいます」(映画製作スタッフ)

 子どものように、てるてる坊主を作ったスタッフもいるそう。

飛んで“画面”に入る虫

 夏ロケの三種の神器といえば、“日傘”“日焼け止め”のほかに、“虫よけスプレー”が挙げられる。中でも虫は、人間の意思で動かすことができないのが困りもの。

「夏の夜の川辺で、幻想的なシーンのロケがありました。できあがった映像の美しさとは裏腹に、現場は悲鳴が飛び交うほどの虫の嵐。撮影のために設置したライトに向かって、虫たちがたくさん集まってくるんですよ。虫よけスプレーや蚊取り線香を焚いたりしていたのですが、焼け石に水でした」(バラエティーAD)

 機材の片づけ時には、隙間から無数の虫の死骸が出てくるのも夏の風物詩だそう……。

氷点下でも口には氷を含む理由

 逆に、冬の外ロケでは一斗缶をみんなで囲んで暖をとったり、撮影時以外はベンチコートを羽織って、寒さをしのいでいる姿が見られる。ただし、冬に撮影するとはいえ、映画の中のワンシーンでは場面が冬ではないこともある。

「映画『無限の住人』は’15年11月~’16年1月上旬ごろまで、主に京都で撮影が行われました。しかし、主演の木村拓哉さんをはじめ、多くのキャストが薄手の衣装で撮影に臨みました。そのうえ、吐息が白くならないよう、直前まで氷を口に含んでいるんです。さすがの木村さんも“さみ~!”とこぼしていましたね」(前出・映画製作スタッフ)

妙に真剣なエキストラ

 ロケ撮影に欠かせないのはエキストラ。一般募集もあり、

「“好きな俳優が出るから!”“家の近くだし……”など、ミーハーな目的で参加する人が多いですね」(前出・映画製作スタッフ)

 しかし、その一団に交じって、妙に真剣なエキストラもたまにいて……。

勉強のために参加する“俳優の卵”もいます。撮影前に手鏡で映りを確認したり、役者の演技を注視したりと、気合の入り方が違うんです。柳葉敏郎さんや唐沢寿明さんも、昔はエキストラに参加していたそう。その経験があって、名俳優になったんです」(前出・映画製作スタッフ)

食事撮影時の“鉄の掟”

 食事のシーンは、エキストラだけでなく役者であっても、食べる量や食べる際の音など、細かい制約が多いもの。

「以前、葬式の後の食事のシーンを撮影していたときは、特に制限が多かったです。大皿料理は“量が減ると差し替えなきゃいけないので、おかずをあまり取らないでください”“器を持つときの音に気をつけてください!”など、細かいルールが多かったですね。

 でも、お腹がすいてつい料理を取りすぎてしまって、スタッフの人に“それ、取りすぎだよ!”と怒られて、料理の交換で撮影が一時、中断してしまいました」(エキストラに参加した男性)