その鶴竜と稀勢の里の結びの一番は、今年3月場所以来の横綱決戦? 結果、鶴竜が勝ったが、会場は大いに沸いた。ちなみにこの日、取組はなかったが、日馬富士も土俵入りを披露した。
ファンと力士が混在する巡業
とにかく、どこもかしこも笑顔、笑顔!
スー女たちは一眼レフを手に走り、力士たちを撮影してしている。みなサービス精神万点で応えるが、なかでも天風(あまかぜ)関はあらゆる声に返答し、気配りを忘れない、その姿勢には本当にプロフェッショナルだと感激した。
さらにあちこちでファンと力士が2ショットを撮り、サインをもらい、興奮している。誰かが最初にしてもらうと、そこからワラワラと人が集まり騒ぎになるが、昨日、私が一緒に働いたスタッフのみなさんや、そのお子さんたちである地元相撲道場の子ども力士君たちが警備にあたっていて、「おねがいします~」と優しい警備。
だからこそ逆にみんながそれぞれマナーを守り、決して過度な騒ぎにならない。
みなが楽しみ喜び、おすもうが大好き! という愛と祝福にあふれていたのが、本当に心地よかった。相撲は興行だけでなく、実りの秋に神さまに感謝を捧げるために奉納する祭でもあり、村々で集い、みなで祝い、喜び合うもの。そんな昔からある相撲の原点を、私はそこに見た気がした。
巡業とは、本場所とは少し違う。皆で作り上げ、喜びを分かち合い、相撲の元に集って祝福し合う。昔からある相撲の姿が今に生きる、とても大切な場所だと知った。
和田靜香(わだ・しずか)◎音楽/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生などに関するエッセイも多い。主な著書に『ワガママな病人vsつかえない医者』(文春文庫)、『おでんの汁にウツを沈めて〜44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー』(幻冬舎文庫)、『東京ロック・バー物語』『スー女のみかた』(シンコーミュージック・エンタテインメント)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。