10月から放送が始まったNHKの朝ドラ『わろてんか』の視聴率が伸び悩んでいるという。
「視聴率20%のことを大台と呼んでいますが、1週目の平均が20.8%。2週目が19.4%とダウンし、その後もなかなか大台に乗ることがなく、苦戦しています」(テレビ誌ライター)
そんな『わろてんか』に強力な助っ人が現れた。
ヒロインの夫・北村藤吉郎の母親・啄子(つえこ)の登場である。演じるのは鈴木京香。91年に放送された『君の名は』でヒロインを演じて以来の朝ドラ出演である。しかも初の姑役。
「鬼姑の“嫁いびり”も同じパターンで新鮮味がない」
という声もあるが、
「ヒロインがいじめられればいじめられるほど視聴率は上がる傾向にあります」(前述・テレビ誌ライター)
朝ドラではこれまで、多くのベテラン女優たちが憎まれ役となる“姑”を演じてきている。そして、憎らしければ憎らしいほどヒロインを応援する声は大きくなり、視聴率もアップする。
古くは最高視聴率62.9%を獲得した『おしん』の高森和子。最近では『ごちそうさん』のキムラ緑子、『マッサン』の泉ピン子、『あさが来た』の萬田久子などが記憶に新しい。キムラは小姑、萬田はヒロインの姉が嫁いだ先の姑だったが、
「彼女たちのイビリっぷりを見て、本当に意地悪な人たちだと勘違いした視聴者も多いんです。それだけ演技力があるということなんですね」(前出・テレビ誌ライター)
基本的に朝ドラには本当の“悪人”は出てこないので、“鬼姑”たちも最後はヒロインと心が通じあえるようになるのも定番のパターンだが、
「最終的には彼女たちも視聴者から共感を得ることになります。それは“意地悪さ”の裏に、人間としての葛藤や悲哀があるからで、それを表現できないとダメなんです」(前出・テレビ誌ライター)
“鬼姑”は女優としての演技力を問われる役ということになる。
鈴木は今年49歳。いつの間にか母親や姑を演じる年齢になり、ついに“大物独身女優”の仲間入りを果たした。最近は報道されることも少なくなったが、長谷川博己との交際はまだ続いているという。
嫁に行く前に姑の役とは皮肉なものだが、とまれ彼女の“いけず”でドラマの視聴率は少しずつ上がってきているようだ。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>