夜間の認可外保育に対する風当たり
国が定めた認可基準(施設の広さ、保育士の職員数など)をクリアし、自治体に認められた認可保育所は、全国に2万5000施設ほどあるが“夜間もやっている”となると、その数は約80か所にまで激減。実に0・003%しか夜間対応の認可保育所は存在しないという実態がある。
そこで必要とされているのが、『キッズパラダイス』のような認可を受けていない認可外保育施設、いわゆるベビーホテルと呼ばれている託児施設だ。
ところが、「夜間の認可外保育所に対するイメージは、まだまだあまりよいとは言えないのが事実です。初めて利用される親御さんの中には、“本当に大丈夫なの?”と怪訝な顔をして質問してこられる方もいます」と吉延さんが語るように、夜間の認可外保育施設に対する世間の風当たりは、いまだ強いものがある。
その背景として、一部施設が劣悪な保育環境にあると報じられた際のベビーホテルの悪い印象や、「夜間に子どもを預けてまで働く親はいかがなものか」といった考え方が横たわっていることは否めない。
しかし、現代の日本社会が、夜を徹して働かざるをえない人たちによって回っていることも事実。われわれが夜中に飲食を楽しんだり、夜間救急で受診をすることができるのは、その時間帯に働いている人たちがいるからこそ成立している。
夜間も利用できる認可外保育施設(ベビーホテル)の数は、全国で1579か所(2016年時点)、入所児童数は 3万人以上という数字が物語るように、夜間保育所を必要としている人たちは後を絶たないのだ。
『キッズパラダイス』の近くで飲食店を営む男性は、
「妻と一緒に店を切り盛りしているので、休みの日以外は子どもを預けています。安心感があるので、仕事にも専念しやすい。認可外ではあるけれど、そのぶん融通がきくというか、保育士さんたちとコミュニケーションがとりやすい」
と語る。確かに認可外は割高かもしれない。だが、その一方で、自治体のルールに縛られる認可保育所にはまねできない利点もある。