今年は初主演映画『月子』が公開され、大ヒットした朝ドラ『ひよっこ』にも出演した井之脇。ヒロイン・みね子(有村架純)が暮らす乙女寮のコーラス部を指導し、幸子(小島藤子)の婚約者ともなる高島雄大を好演!

井之脇海 撮影/佐藤靖彦
井之脇海 撮影/佐藤靖彦
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「みんなより1週間遅れて現場に入ったので、すでに“空気”ができあがっていて。僕は女性に対してシャイなので、あの女子の花園みたいな中に入っていくのにはそうとう勇気がいりました(笑)

 劇中ではオルガン演奏を披露していたが、彼自身、東京交響楽団のフルート奏者の親戚をもつなど音楽家の家系に育ったという。児童劇団に所属しながら、幼いころから情操教育としてピアノを習っていたそうで、

「そんななか12歳のときに映画『トウキョウソナタ』(黒沢清監督)でピアノを弾く役をいただきました。新宿まで週5で通い、1日8時間と猛練習。それくらいとても大事な役どころだったんです」

 そして見事、キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞などを受賞。この作品が、その後の彼の人生を大きく左右することに。

「このときに役者でやっていく覚悟を決めました。本気でものを作っていく大人たちを間近で見てすごくカッコいいなと思ったし、とにかく現場が楽しくてハマってしまったんです。父親役を演じた香川照之さんの背中を見ていたのも大きかったです」

 香川から言われた“ちゃんと学校は出ておいたほうがいい”という言葉を肝に銘じ、このとき大学までの進学を決意したと言う。

「僕は香川さんとは違って東大には行けませんでしたが(笑)。でも中学以降はちゃんと芸能活動もできる学校に進んだし、学業7:仕事3とバランスをとりながら両立させていました」

 現在、大学4年生。映画学科に進み、演技のみならず映画全体を学んできた。

「監督コースの授業に出たり、撮影部の授業を見学したり。年々映像とか映画が好きになっていって、もう抜け出せないです。3年生で単位もほぼ取り終わったので、そこから徐々に仕事を増やしていってます。仕事が好きで、現場に行くことがちゃんと楽しい。僕は本当に好きなことができて、すごく幸せだと思います!」

 1本でも多くの作品に関わりたい、そのために目の前にあることを着実にこなしていきたいと話す井之脇に今後の夢を聞いてみると、

「出られるものならウディ・アレン監督の作品に出てみたいです」

とちょっとテレくさそうに、大きな口を緩ませ笑顔を見せた。

「口の大きさは欲望の表れっていいますからね。僕も欲が深いのかもしれません(笑)

(c)NHK
(c)NHK

<出演情報>
NHK大河ドラマ
『おんな城主 直虎』毎週日曜夜8時~ほか