猫13匹を虐待し殺傷、動物愛護法違反の罪で逮捕、起訴された元税理士・大矢誠被告(52)の初公判が11月28日、東京地裁で開かれた。
「生まれたときから猫と一緒に育ったので被害にあった猫とうちの猫がだぶって……」
母親と傍聴券の抽選列に並んだ中学2年の男子生徒(14)は涙をにじませた。
9匹殺害、4匹重症
今年8月に事件が発覚すると、その残虐さへの怒りや類似犯を抑止するためにも「大矢被告に懲役刑を」と、厳罰を求める署名がスタート、21万筆以上が集まった。
訴状によると、被告は昨年3月から今年4月まで、埼玉県深谷市内で猫を捕獲。鉄製の檻などに閉じ込めて熱湯をかけたり、ガスバーナーであぶるなど虐待し9匹を殺害、4匹に重傷を負わせた。被告はその虐待行為を撮影、インターネットの動画共有サイトに投稿していた。被告は起訴内容を認めた。
また、証拠調べでは検察が「被告いわく、警察の取り調べで“駆除した”との供述は言い訳だった。猫の糞尿被害から駆除したかったのは事実だが、いつしか動画が目的になった」と明かした。
大矢被告が初めて猫を虐待したとするのは昨年3月だが、発端は2年前にさかのぼる。
「'15年4月、さいたま市見沼区に引っ越しました。その家で野良猫から、糞尿や飼っていたメダカや金魚が殺される被害にあいました」(被告)
被害が増えた夏ごろ猫への対策を考える一方、残虐な方法で虐待されている動画をほぼ毎日閲覧したという。
'16年2月末、手を噛まれたことで猫への嫌悪は悪化。
「完治にも時間がかかり、仕事にも影響、猫へ憎しみや恨みを覚えた」(同)
さらに、自らが管理していた深谷市の事件現場となった住宅でも「猫の糞尿被害などにあった」と、供述する。
「当初は捕まえて放そうかと思っていたが、戻ってくる可能性もあるし、次の土地で糞尿の被害を起こしては大変、殺すしかないと思った」(同)