徹夜でピアノ練習
俳優・綾野の見せ場

 リアルな医療シーンに、俳優たちも真剣そのもの。

「医療用語は事前に勉強して、意味がわかったうえで撮影に臨んでいます。綾野さんは“台本にはこうあるけど、このほうがいいよね”と提案も。アドリブも専門医なみです。吸引分娩のシーンでは、器具を膣に入れるとき、“吸引しますよ”のセリフに加え、綾野さんや吉田さんが“ちょっと気持ち悪いけど、我慢してね”と加えたり。これには監修の先生や助産師さんも驚いていました」

 綾野は、自分以外の役のセリフも読み込み、監督に相談することも。

綾野さんは、気遣い屋さんです。ずっと前室にいて、楽屋にこもるということはないです。ゲストの方には、チーム感ができあがっているメンバーの一員に入れてあげようとするし、撮影前にちょっと騒がしいと、“これから監督がしゃべるよ”と、注意喚起して、申し分のない座長です」

コウノドリ (c)TBS
コウノドリ (c)TBS
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 “BABY”のピアノ演奏は、吹き替えなし。

「曲は毎回、綾野さんが脚本から受けたイメージを、ピアニストの清塚信也さんと話して、監督と3人で作っています。すべて違うバージョンなので、綾野さんは清塚さんの演奏をビデオに撮影して徹夜で練習して、撮影に臨んでいます」

 物語はいよいよクライマックス。第9話(12月8日放送)では、サクラは、3回の流産を経験し不育症に悩む夫婦に向き合う。

「これまで誕生の瞬間を描いてきましたが、そこに至らずに悩んでいる方も多いので、今回は子どもを授かる奇跡を取り上げます。さらに10話では、笑顔でやさしいサクラが初めて怒りの感情を表します。静かな怒り。俳優・綾野剛の見せ場になっています。

 今、自分が存在しているのは、産んでくれたお母さんがいてくれたからで、奇跡の積み重ねなんです。つらいことがあっても“自分は奇跡の存在”と思えば、前向きに生きていけると思います。すべての女性、そして男性やお子さんにも、それぞれの感じ方で見ていただきたいですね」