<其之三>
激やせから激太り…意外に繊細だった!?

 西郷さんと言えばふくよかな巨体のイメージがあるけど、2度の流罪による島生活の最中は、食事も満足にとることができず、どんどんやせ衰え、“激やせ西郷さん”になっていたことはあまり知られていない。しかも、ストレスのあまりうつ気味になり食っては寝るを繰り返したため、その後は激太り傾向になったというから忙しい。

 また、自分に好意を抱いている人物には極めて優しく、虜(とりこ)にしてしまうような魅力を放っていた一方で、反(そ)りが合わない人物とはとことん仲が悪かったことも有名。その最たる例が、斉彬の跡を継ぎ藩主となった島津忠義、その父・久光との確執。主君ともいえる久光に対し、面と向かって「地ゴロ(薩摩弁で田舎者の意)」と呼んでしまったことも……。そりゃ島流しにもなるよ! 好き嫌いが激しくストレスによって体重が増減してしまうなんて西郷さんって意外に繊細で虚弱体質だったみたい。役作りを徹底する鈴木亮平の身体がもつかどうか心配になるほど、西郷さんはバラエティー豊かな人物だったようだ。

<其之四>
BL的要素もアリ!? 女性不信&大柄な女性好き

 男たちから惚れられるリーダーだったように、彼自身も精神的に男に惚れ込むタイプだったという西郷さん。身分の低い家柄だったにもかかわらず、西郷さんの才能に惚れ込み引き上げてくれた薩摩藩主・島津斉彬に心酔し、彼が急逝するや失望し殉死を決意するあたりは“いかにも”なエピソード。その後、同志だった僧侶の月照と入水し、西郷さんだけ助かる心中事件を引き起こすなど、BL的世界観を内包していることも『西郷どん』の大きな見どころになるはず。

イラスト/柏屋コッコ
イラスト/柏屋コッコ
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 また、女性に対しても相当な一家言を持っていたみたい。斉彬が藩主になるならないでモメたお家騒動(お由羅騒動)の際に、斉彬擁立の足を引っ張る由羅に嫌悪感を抱き(手紙の中で「女奸」と書くほど!)、その後の青春時代は女性不信に陥っていたというから、どんだけピュアなの!?

 ところが、流罪となった奄美時代に「島の女は美しく、京や大坂もかなわないだろう」と克服。島流しにあって、女性への不信感も水に流せた!? 西郷さんは大柄な女性を好んでいたらしく、この地で結ばれる愛加那も大柄だったとか。心や身体で自分を包み込んでくれような人が好きだったのかもしれない。