ホストが事件を起こすケースも
世界的な観光地として知られる京都市も、民泊に厳しい姿勢で臨んでいる。
「民泊じたいに反対しているわけではありません」
と同市担当者は前置きし、
「ルールを守らない利用者、違法民泊業者は許さないというスタンスです。一昨年は市内4700軒あまりを調査して、約400施設で営業を中止させました」
と取り組みの成果を強調する。多くの観光客が訪れる古都だけに、トラブルも舞い込む。特に騒音の苦情……。
「古くからの家屋は長屋タイプで壁が薄く、隣から足音がバタバタと聞こえる、ハメをはずして外国語で大声で騒ぐ、キャリーバッグのガラガラがうるさい、といった苦情が近隣から寄せられます。誰が泊まっているのかわからなくて不安でしかたがないという人もいます。火事も怖いですよ」(前出・担当者)
アジアからの観光客が多い沖縄でも、
「住宅専用地域などでの営業については規制を考えています。ただ離島によっては地域活性になると期待していますので、民泊そのものを否定するわけではなく、きちんと許可をとってやってもらいたいんです」(同県担当者)
と、貸主=ホストの順法精神に期待する。
なかには不届きなホストが事件を起こすケースも。民泊の女性客に性的暴行を働こうとして逮捕されたり、無許可営業のうえ、盗撮をしていたとして書類送検される事件も起きた。
つい先日は、大阪の民泊マンションに女性を監禁した疑いで米国籍の男が逮捕され、女性が行方不明(24日現在)のままという事件が発生したばかり。ホテルや旅館のように従業員の目が届かないため、宿泊客の暴走も防げない。
民泊事情に詳しい東京・中央区の『日本橋くるみ行政書士事務所』の石井くるみ氏は、
「これまでは違法民泊に対する罰則規定と行政の監督権限が不十分だったことが、近隣住民とのトラブルの一因となっていました」
と、指摘。違法民泊業者や民泊トラブルは民泊新法に加え、改正される旅行業法で問題解決の成果につながることが期待されているという。
「違法営業にかかる罰金額を3万円から100万円に引き上げ、行政に違法施設への立入検査権限を与える新しい旅館業法が、新法と同時に今年6月15日から施行されます。この日から、違法民泊業者は厳しく摘発されていくでしょう。ルールを守れないのならば民泊営業を諦めることが必要です」(前出・石井氏)