「サラリーマンじゃないから、船に来る日はまちまちだな。来れないときは全然来れないよ。今回は明日とその後のライブの練習を船上でやったり、本を読んだり。あとは休養だ。ここにいれば心が休まるんだよ。
歌の練習もここならいくらでも大きな音が出せる。こんな贅沢を手に入れたくって一生懸命に働いてきたわけだ。若いころは忙しくて年に2回ぐらいしか乗れなかったけど、今はやっと船上生活もできるようになったよ」
なぜ加山は「船」にこだわるのか
記者が「ライブの練習は別にして、ホテルや別荘ではなく、なぜ船にずっといらっしゃるんですか? 面倒なこともあるんじゃないですか?」と尋ねると、
「ここは俺にとっては家みたいなものなの。俺は昔から船が好きなんだよ。船乗りになるか、船の設計技師になるかって、若いころずっと思ってたんだ。
でも、俺の友達の忠告で、ひと旗上げて自分で金儲けしてから船を造ればいいんじゃないかってな。
それでこの船を造ったんだ。光進丸はこれが3代目だけど、造った船はもっともっとあるよ。人の船まで設計してる。本職にしたかったことを、いま時間があるときに自分でやっているんだ。
今着ているシャツの柄は、2代目の光進丸の設計図なんだぜ。これは自分で書いたんだ」
過去にはそんな相棒を手放したときもあった。
「昔、事業的に困ったことがあったりして、借金があると取られるかもしれないから名義変更をしたり、買ってもらったり。
いろんなことをやっていればそういうときもあるよ。まぁ、でも結局は戻ってきたわけだ。だから、この船は俺の命を救ってくれてるんだよ!」