ーーそういう意味では、売れるためには何でも武器にすることですか?
「もちろんそうです。あとは、お笑いは熟成期間が必要だから、継続は力なり。本気でやる気があるかどうかが問われるんですよ。
だから、長くやってる江頭は超人ですよ。しかも、俺がやれと言ったことに対して、できないといったことが一度もないですから(笑)。
お尻の穴から白い粉を出す芸も、ふたりでじっくりと生み出したんです。ケガしちゃいけないので、病院に行って腸や肛門の勉強をして、何度もソロライブや本公演で練習して出来るようになった賜物なんです。あいつはバケモノだね」
ーー阿曽山大噴火さんもビジュアルからしてバケモノ感がありますが。
「たしかに、阿曽山大噴火もバケモノだね。事務所に入ってからしばらくは新宿西口改札出て3秒の所で段ボール生活のホームレスをやっていました。
朝5時に警備に起こされるので、その後、新宿区役所にシャワー浴びに行くんですよ。あいつに言ったアドバイスはシンプルにふたつ。
“匂いに気をつけろ”と“お笑いをやりたい気持ちは忘れるな”だけです。
オウム裁判に連れて行ったのがきっかけで、今の芸風になりましたが、そこから毎日裁判所傍聴ですね。そのへんの司法記者より行ってますよ。当選倍率が高かった、ホリエモンの裁判傍聴も引き当ててましたからね。
プロとしてやるんだったら100円のおにぎりを盗んだ事件の裁判から、世間を騒がす重大な事件までとことんやってもらいたい。
みんなテレビを目指しているけど、うちはネタはなんでもOK。メディアでは放送できないネタでも好きにやれと! それをやらないから、ユーチューバーに仕事を取られているんです。あとは日本以外でも活躍してほしい。
いまのところ、それが出来るのは江頭だけだな(笑)。だから、あいつにはユーチューバーになって世界へ行けって言いたいですよ」
ーー総裁が言ったら行くことになるんでしょうね(笑)。江頭さん、阿曽山さんのお話で大川興業の笑いに対する姿勢がすごくよく伝わりました。大川興業も含めて、これからのお笑い界はどうなっていくとお考えですか?
「今の売れている芸人っていうのは、多くが真面目なコメンテーターであり、ご意見番になってしまってる。
芸人は本来、ネタにされる側。社会に迷惑かけながら、笑いにする。バカやって、お客さんのココロに“貯金”する。今の芸人は、高学歴だったり、お金持ちもいたり、スポーツ万能だったりエリート過ぎちゃうよね。もっと、ドロップアウト組の芸人がたくさん出てきてほしいし、そうじゃなくても破天荒であるべき。
そういう意味では、うちの事務所だけが一億総活躍社会ですよ。今のままだと、うちだけ生活保護の対象ですよ。お笑い界の駆け込み寺ですから」
ーーそんな総裁がいま一番、注目している芸人さんはいますか?
「籠池夫婦が最高ですね。あんな面白い夫婦はいないですよ」
ーー(笑)! 芸人さんでお願いしたかったんですが……。
◎元吉本新喜劇所属。芸人、役者時代の人脈を活かし、体当たり取材をモットーに既成概念にとらわれない、新しいジャーナリスト像を目指して日々飛び回る。