全国福祉保育労働組合の東海支部の担当者は、
「妊娠・出産についての問題は、今に始まったことではありません。園独自の暗黙のルールが存在し、先生たちは自ら忖度してしまう。長年のそういう風潮が残っています」
と断ち切れなかった悪しき弊害であると指摘。
保育園“大奥説”
「妊娠してはダメなんて決まりはないし、書面があるわけではありません。ただ先輩との関係や人手が足りないのに現場を抜けること、子どもたちの保育に最後まで携われないなどの申し訳なさから、妊娠を告げることに対してかなりナーバスになりがちです」(前出・東海支部担当者)
自発的に発生したものか、園長のひと言で始まったものか、独自ルールはさまざま。
九州地方で保育園を経営する小山田光一園長(仮名・34)は、「保育園は園長のお城です。園長の言うことは絶対という空気がある」と自戒を込めて断言する。
一般的な企業体に比べ圧倒的にコンパクトな人数で運営される保育園。園長に女性が多いことも加わり、
「独特の現場だと思います。江戸城の“大奥”ですね。嫉妬、いじめ、陰口などは多くの園であることだと思います」
と、キャリア10年以上の都内の保育士、安藤みどりさん(仮名・30代)は“保育園大奥説”を唱える。さらに、
「サービス残業や給料の問題はありますが、いちばんは人間関係です。人間関係がいい園では給料が安くても保育士はほとんど辞めません」
と明かす。安藤さんはかつて、こんな経験をした。
「仕事を休むことへの無言のプレッシャーがあり、発熱しても出勤しました。休むとベテランの先生から“私たちの時代は38度熱があっても働くのが当たり前だった”と嫌みをたっぷり言われます」
時代遅れの根性論がまかり通る世界。ベテランのお局様たちの機嫌を損ねないために理不尽な独自のルールを守る。
「病気で休んだ後、菓子折りを持って、“ご迷惑をおかけしました”と言って先生たちに謝ります。私はカステラを持って行きました」(前出・安藤さん)
園長やその取り巻きの言動は、まさに大奥そのものだ。