「ゆっくり食事できるように個室を予約しました」
45歳女性、美由紀さん(仮名)のこんな話もあります。51歳の男性、恩田さん(仮名)とお見合いをし、交際に入りました。初めてのデートの時のこと。「ゆっくり話せるほうがいいと思って、個室を予約しました」とメールがきました。
待ち合わせは、金曜の東京・新橋。駅前にある機関車の前に19時。新橋といえばサラリーマン御用達の居酒屋天国ですが、きっと駅から少し離れた裏通りに、静かでこじゃれた大人の隠れ家的なレストランがあるのだろう。そんな期待を美由紀さんはしていたようです。
待ち合わせの場所に行く前に、駅のトイレで入念なメイク直しも怠りませんでした。そして、機関車のところに行くと、彼がすでに立って待っていました。
「お待たせしてすいません」
「いえ、僕も今きたところですよ。さあ行きましょうか」
そこから連れていかれたのは、駅からほど近い飲み屋の入った雑居ビル。
「えっ、ここ????」
彼女の頭は「?」だらけでしたが、彼は何の迷いもなくエレベーターに乗り込み、6階を押しました。降りるとそこは、サラリーマンで賑わう居酒屋さん。
入り口で、彼は店員さんに言いました。
「予約した恩田です」
彼女は私に、その時の様子を苦笑いしながら、こう話してくれました。
「“個室”っていっても、テーブルとテーブルの間がパーテェーションで仕切られているスペースだったんですよ。だから、隣の声が丸聞こえ。パーテーションの隙間から4人組のサラリーマンが見えたし。『夜景が綺麗でしょ』って、恩田さんがおっしゃったけど、窓の外から見えるのは、雑居ビルの飲み屋の看板ばかりでした(笑)」
そして、お会計の段になり、美由紀さんが、「お支払いは?」とお聞きすると、「3000円でいいです」と。お会計は、2人で7千円弱でしたから、女子割のお会計となりました。
この2人もデートの後に、美由紀さんのほうから、「交際終了」を出しました。