「ほかにもロケーションの許可を取るのが大変になってきました。恋愛モノならともかく、アクションはなかなか道路使用許可が下りないことも。日本のロケ地よりも規制の少ない韓国や香港など、日本と風景の似ている海外で撮影することも多いですね。
ドラマは予算が少ないですし、毎週放送があるため、スケジューリングも難しいのですが……。アメリカでは、警察が逆に撮影に協力してくれるほど寛容だそうですよ(笑)」
以前は今よりも演出に自由度があったため、大胆な演出もさまざまできたという。
「護送車を川の中に落として、その中から志賀勝さんを脱走させていました。ほかにも、破棄する煙突を見つけてきて倒す演出を平気でしていましたね。戦車を国会議事堂の前に走らせたときは、さすがにモメたみたいですけど(笑)」
視聴者からの苦情がネックに
テレビ局側が恐れているのは、視聴者からのマイナスな声……クレームだ。
「視聴者からの苦情を恐れるあまり、表現の仕方に自主的に規制をかけることは、以前より増えていると感じます。昔は同じジャンルの作品でも切り口がたくさんあって、視聴者は好みの作品を選べたんです。
切り口が狭まり、ドラマのストーリーも人情オチのものが多くなっていて、似たような印象のドラマが増えてしまったように感じます」
そのなかでも、ほかとは異なる作品を作るために動いているテレビ局もある。
「テレビ東京の深夜枠のドラマは映画のクリエイターを制作に取り入れていて、作り手から見ると“冒険しているな”と思います。ほかのキー局は制作会社も含め、自局の関係者で作っているものが多いんです。
そのため、上司の意見には逆らえない一面もあり、既存のやり方にプラスアルファするのが難しい部分もあるのだと思います。昔は“会社なんか関係ない、やっちまえ!”というプロデューサーが多くいたんですが、地上波は“誰でも見ることができる”わけで、どうしても表現を狭めざるをえないんです」
ドラマ離れが深刻と言われる今、救世主となるのは“敏腕プロデューサー”だ。
「脚本家のいいところを引き出すのはプロデューサー。彼らがちゃんと脚本を読めなきゃいけないし、育てなくてはならない。今のドラマ界を盛り上げるには、プロデューサーを育てることが急務かもしれないですね」