並びが悪くてずっと見た目を気にしていました。最近は周病が心配です。何歳くらいまで列矯正はできますか?
(52歳 専業主婦)

「何歳になっても列矯正はできます。周病でがボロボロだと難しい場合もありますが、の骨さえしっかりしていれば、90代でも大丈夫。私のクリニックの患者さんは20~60代、特に30代がコア層です。

 40~50代になると周病が増えてきますが、周病だからといって矯正をあきらめないで。しっかりと周病を治療すれば、矯正できる可能性はあります」

 と坂本先生は指摘する。

矯正のメリットは、見た目の改善だけではない。

「例えば、ななめに生えているは、かむ力がアンバランスになって折れたり欠けたりすることがあります。は垂直にかかる力には強いのですが、ななめからの力には弱い。矯正でかみ合わせを整えると、のトラブルは少なくなります。

 また、食べカスが詰まりにくく、みがき残しもなくなるので周病予防にもなる。まず周病を治し、そのあと治療の一環として矯正科治療もできるのです」

 矯正科治療の方法は、大きく2種類に分けられる。

「マウスピース型矯正装置を使う方法と、ブラケットという器具をに張り、そこにワイヤーを通す方法があります。ブラケットはの表側につけるマルチブラケット法と、裏側につける方法があります。

 ひと昔前は、ブラケットもワイヤーも金属が主流でしたが、の表側にブラケットをつける方法では、セラミック素材が人気。セラミックはの色と同じか透明なので、金属製より目立たないからです。裏にブラケットをつける方法は、大きく口を開けない限りまず見えませんので、金属のブラケットを使用します。

 治療期間が早いのは、表側にワイヤーを通す方法です。続いて裏側にワイヤーを通す矯正法。あくまで私の見解ですが、マウスピース型矯正装置では完璧な治療を行うことが難しく感じているので、私のクリニックでは、マウスピース矯正を行う場合は、その前後にワイヤー矯正も行っています」

 年齢が高くなればなるほどは動かなくなっていく。その分だけ、矯正には時間がかかるのが普通だ。

「むしろが早く動きすぎるときは要注意。周病の可能性があります。40代を過ぎると周病が増えますから、周病の治療や完璧なクリーニング、口腔ケアを行ってから矯正に入りましょう」

 ブラケットとワイヤーをつけたら、定期的に科医院で調整を行う。

「調整する際に痛みはありますが、最新の装置を使えば軽減できます。矯正治療中はしっかりとセルフケアとクリーニングを行うことも重要です」(坂本先生)