動物に直接的な暴力を加える虐待は論外としても、そうしたことも広義の虐待に値すると力説した。犬やを拾って増やすのも、やはり虐待に等しいという。

かわいいから、あるいはかわいそうだからといって、当初の少ないうちに避妊・去勢手術をしないから、どんどん酷い飼育環境になっていく。近親交配で身体の弱いも生まれますしね。

 野良を保護するのはいいことですが、それを50か所から1匹ずつ拾って50匹ならばまだいいとしても、最初に数匹拾ったのを自分が増やして50匹にしているんですから」

犬猫の引き取り活動に尽力

 中谷さんらは、月に1度ぐらいのペースで、こうした多頭飼育崩壊の現場を訪ね、増えてしまった犬たちを引き取る活動を続けている。

「多くは本人からの相談や依頼です。周囲からの通報や行政の情報提供もあります。犬70匹の多頭飼育崩壊の家があるので、来週は東京へ行くんですけどね」

犬のほか、保護された野生の鹿や福島で被災したヤギの子も飼育する
犬のほか、保護された野生の鹿や福島で被災したヤギの子も飼育する
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 引き取った犬たちは終生飼養される。行政からの引き取り以外は基本的に有料だ。

「死ぬまでですから、1匹につき5万円と、避妊・去勢手術代、毎年しなければいけないワクチン代は別です。とはいっても多頭数ですから、現実的に払えないお宅も実際には多い。そういう場合は“気持ち”で可能な金額を払ってもらっています」

 救援隊は、こうしたお金と年間3000円からの賛助会員(現在約3000人)、フードメーカーなど支援者の寄付で成り立っている。

「資金集めは大変ですが、肝心なのは寄付してもらうためにゴマをすらないこと。横柄かもしれませんが、いただいた分はきちんと結果を出してHPやブログなどで示していくことだと思っています」

 と中谷さんは胸を張る。