後輩からも憧れの関係
今回のイベントの主宰者であり、早稲田大学卒でマキさんの後輩にあたるドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんも、そんな2人の関係性に魅せられたひとり。
「マキさんを初めて見たのは、2007年放送のドキュメンタリー番組だったかと思います。とにもかくにもエネルギッシュでエモーショナルというのが第一印象でした。正直、最初はそんなに胸にくるものはなかったんですけど、新作が放映されるたびにおふたりの関係性が好きになっていって。
SNSやインターネットのおかげで出会いが簡単になったぶん、人と人の関係性はインスタントかつ希薄になってきたじゃないですか。そんななか、この2人は生身のぶつかりあいをしているな、誰かと寄り添って生きるってこういうことなんだろうなと思ったら、何だか泣けてきてしまって」
確かにジョン&マキ夫婦が先のドキュメンタリー番組で耳目を集めたのは、2人が何取り繕うことなくぶつかりあう姿。言い合いの末、マキさんがジョンさんに「しょせん、女ね!」と言い放ったときは、衝撃が走ったものだ。
しかし、テレビで見る2人と素の2人には、かなり隔たりがあるとマキさんが言う。
「プライベートでは、もう何か月も口争いひとつしていないんです。でも、テレビカメラが入るとスイッチが入っちゃう。本当はあんなイヤな人間じゃないんですよ」
生来のサービス精神がそうさせるのだろうか。しかし、テレビカメラは激しいケンカを映し出すいっぽうで、ジョンさんの手料理に子どものようにはしゃぎ、写真を撮りまくるマキさんや、家でダンスの稽古をするマキさんを見つめるジョンさんの姿も切り取っている。
「でも、ジョンのそれは恋人とか夫婦の視線ではなくて、教育ママであり、ステージママの目。私に言わせれば、ジョンは私の後見人であり、審査員なんです」
確かに、ジョンさんの目は温かだったが、芸事に関する指摘は鋭く、そのアドバイスを聞くマキさんの目も真剣そのもの。画面からは互いの信頼の厚さがにじみ出ていた。
そういえば、ジョンさんは「マキちゃんのことは信頼しているし、2人とも、もう1度ひと花咲かせたいと思っているんです」とも語っている。
「最後の悪あがきよね(笑)。でも、もっと広い部屋に越したくて頑張っているのはホント。それも、今の前橋じゃなくて東京により近い高崎ね。
私の仕事が全部、東京なので(イベントの)主催者さんにも余計に交通費をご負担いただくことになりますし、お気に入りの口紅も高崎の百貨店まで行かないと手に入らないから(笑)」