A型は胃がんリスクが高い
「'00年に、イギリスの科学誌『ネイチャー』に、血液型と胃がんはわずかながら関係しているという論文の掲載がありました。ただ、すい臓がんの例が出たことで、胃がんについてもあらためて調べ直す動きが世界的に起こっています」
血液型と胃がんの関係について、スウェーデンの研究者たちが献血に参加した100万人以上を、10年間にわたって追跡調査し、その結果を発表している。
「データを解析した結果、O型に比べてA型は1・20倍、胃がんのリスクが高いことがわかりました。B型は0・92倍で若干リスクが低く、AB型は1・26倍とA型よりも高リスクだったものの、サンプル数の少なさから除外して考えるのが妥当でしょう」
さらに昨年、上海の研究者からも“B型はO型よりも胃がんになりにくい”という研究報告がなされている。
「10万人以上の規模のデータを解析した結果がいくつもあるので、信用していいだろうと私は思います」
そもそもがんの最大要因はヘリコバクター・ピロリという細菌、通称ピロリ菌の感染だといわれている。
「子どものときに感染し、今の60歳以上の人はかなりの確率で持っているといわれています」
ピロリ菌そのものに発がん能力があるわけではなく、ピロリ菌が胃炎を引き起こすため長く感染していると慢性的な胃炎が続き、胃粘膜が萎縮・変性して、最終的には胃がんになるというのが現在の学説だ。
「台湾の研究者からは、A型の人はピロリ菌の感染率が高く、O型を1とすると1・4倍くらいだという報告もあります」
厚生労働省の最新データによれば、日本人の死因1位は、不動のがん。2位に心疾患、4位に脳血管疾患と血管にかかわる病気がランクインしている。
「心疾患の中でいちばん死亡リスクが高いのは、急性心筋梗塞です。心筋に酸素を供給する冠動脈が血栓によって詰まり、詰まった先の心筋細胞は酸素の供給が絶たれて窒息死します。そして心臓全体の機能が低下し、命を落とす人も大勢います。
また、脳血管疾患は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの総称で、最も多いのは脳梗塞。脳内で血栓が詰まってしまう病気です。詰まった先の脳細胞が酸素供給を絶たれて窒息死します」(永田教授、以下同)